【最長15年~】長期借入できる!信用保証協会の制度一覧【全国・首都圏・関西圏】

土地や建物、大型の機械設備を購入するには、まとまった資金が必要です。特に、20年を超える長期にわたり活用する資産(賃貸不動産や発電設備、建設機械など)を取得する会社にとっては、長期の借入金が有効です。

この記事では、最長で「15年・20年・30年」と長期にわたっての借入が可能となる信用保証協会の制度を「全国・首都圏・関西圏」に分けて紹介します。

【全国共通】長期借入が可能な制度

全国の信用保証協会で実施されているのが「長期経営資金保証」(やくしん)です。

保証協会共通の「長期経営資金保証」(やくしん)【全国】

通称「やくしん」と呼ばれる、全国共通の制度です。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内(運転資金)/20年以内(設備資金)

・保証限度額・・・・・・・2億円(最低保証額2,000万円)

最大2億円、設備資金20年、運転資金15年。金額が大きく返済財源の確保に長期間かかる、大型の設備計画などに適しています。

東京信用保証協会「協会制度一覧」
※一覧の中、上から二つ目に「長期経営資金保証」についての記載があります。

千葉県信用保証協会「長期経営資金保証」

埼玉県信用保証協会

茨城県信用保証協会

なお信用保証協会の所在地は、一般社団法人 全国信用保証協会連合会「お近くの信用保証協会一覧」で確認できます。

【首都圏】長期借入が可能な制度

続いて、首都圏で長期借入できる制度を紹介します。

(1)東京信用保証協会「設備投資(設備)」【東京】

設備投資を対象とした制度です。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内(据置期間2年以内)

・保証限度額・・・・・・・2億8千万円

機械や装置、工具・器具、備品などの導入や増強、改良、補修などを対象としています。その他、建物の改修、建替など(耐震化・バリアフリー化を含む)なども対象です。

東京信用保証協会「設備投資(設備)」

(2)東京信用保証協会「働き方改革支援」(働き方)【東京】

働き方改革支援」に定める7つの融資対象のいずれかに該当し、東京都の「テレワーク東京ルール」の実践企業宣言を行っている事業者が対象です。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内(据置期間2年以内)

・保証限度額・・・・・・・2億8千万円(一般)/4億8千万円(組合)

「テレワーク東京ルール」実践企業宣言制度とは、5つの戦略(危機管理・働き方改革・人材活用・ビジネス革新・地域振興)をふまえ、「我が社のテレワークルール」を設定・宣言してする制度です。

詳しくは東京保証信用協会「保証マンスリー」をご覧ください。

令和4年度 東京都中小企業制度融資要項

)東京信用保証協会「事業再生計画実施関連保証(感染症対応型)制度」【東京】

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業向け、令和4年(2022年)度新設の制度です。事業再生計画などに従って事業再生を行う際に利用できます。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内(据置期間5年以内)

・保証限度額・・・・・・・2億8千万円(1企業)/4億8千万円(1組合)

信用保証料に関して、本融資(新規申込分を含む)の融資残高が

・8,000万円以下・・・・・全額を東京都が補助

・8,000万円超・・・・・・・4分の3を東京都が補助

という手厚いサポートも魅力です。

東京信用保証協会「事業再生計画実施関連保証(感染症対応型)制度」

)埼玉県信用保証協会「担保活用型長期保証(前途洋々)」【埼玉】

運転資金は15年、設備資金は20年の借入が可能な制度です。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内(運転資金)/20年以内(設備資金)

・保証限度額・・・・・・・2億円

※運転資金は据え置き不可、設備資金は24カ月以内の据え置き可。

以下の要件を充足する必要があるのでご注意ください。

▼埼玉県内に事業実態があり、次の全てを満たす中小企業者(個人・組合・NPO法人を除く)の方
・保証申込日以前に2年以上継続した与信取引がある
・保証料率区分5以上である
・運転資金の場合、本件借入金と直近決算期の長期借入金(実質長期借入金も含む)の合計額が直近決算期における売上高の50%未満である
・直近決算期の自己資本比率が10%以上である
・申込金融機関の債務者区分が正常先である

埼玉県信用保証協会「担保活用型長期保証(前途洋々)」

(5)神奈川県信用保証協会「きょうりょく保証」【神奈川】

不動産を活用して、長期の資金繰りの安定化を図ることのできる保証制度です。

・保証期間・・・・・・・・・20年以内(据置期間1年以内)

・保証限度額・・・・・・・2億円(最低保証額1,000万円)

工場や自宅など担保価値のある不動産を持っていれば、最長20年という長期借入が可能になる制度です。ただし、保証金額の80%を保全する不動産担保が必要となります。

神奈川県信用保証協会「きょうりょく保証」

(6)千葉県信用保証協会「事業承継サポート保証『みらい』」

事業承継を検討している事業者向けです。

・保証期間・・・・・・・・・20年以内(据置期間6ヶ月)

・保証限度額・・・・・・・2億円

事業承継計画に基づき、持株会社が事業会社の株式を集約化するための資金に活用できます。

千葉県信用保証協会「事業承継サポート保証『みらい』」

(7)千葉県信用保証協会「アセット」【千葉】

不動産を有する中小企業者に、超長期資金の支援を行う保証制度です。

・保証期間・・・・・・・・・20年以内(据置期間6ヶ月)

・保証限度額・・・・・・・2億円

「保証料率区分が5以上」であること、金融機関の債務者区分が「正常先」であることなどの制約がありますが、いざという時に長期資金を確保する道が開けます。

千葉県信用保証協会「アセット」

(8)栃木県信用保証協会「経営改善サポート保証(事業再生計画実施関連保証)」【栃木】

事業再生に取り組む事業者向けの制度です。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内(据置期間6ヶ月)

・保証限度額・・・・・・・2億8千万円

この制度を活用するには、経営改善計画を策定することが必要となります。策定にあたって、

・国が実施している「経営改善計画策定支援事業」を活用

・費用が国の補助対象(費用の2/3以内かつ上限200万円)を超えた

という場合、自己負担分の費用の2/3が補助されます(上限200万円)。

なお、経営改善計画策定支援事業については、別記事「リスケ等金融支援を受ける!『経営改善計画策定支援事業』(405事業)とは?」で詳しく説明しています。ぜひ参考にしてください。

栃木県信用保証協会「経営改善サポート保証(事業再生計画実施関連保証)」

(9)群馬県信用保証協会「事業承継サポート保証」【群馬】

事業承継を検討している事業者向けです。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内(据置期間2年)

・保証限度額・・・・・・・2億8千万円

事業承継計画に基いて、持株会社を設立し、持株会社が事業会社の株式を買い取る資金に利用できます。

群馬県信用保証協会「事業承継サポート保証」

【関西圏】長期借入が可能な制度

続いて、関西圏で長期借入ができる制度を紹介します。

(1)大阪信用保証協会「事業承継サポート保証」【大阪】

事業承継を行う事業者向けです。

・保証期間・・・・・・・・・30年以内(有担保)/15年以内(無担保)

・保証限度額・・・・・・・2億円(有担保)/8千万円

持ち株会社が事業承継計画を実施するにあたって必要な設備資金に利用できます。担保がある場合は「30年」という、かなり長期にわたる点が大きな魅力です。

大阪信用保証協会「事業承継サポート保証」

(2)大阪信用保証協会「事業再生計画実施関連保証(経営改善サポート保証)」【大阪】

事業再生に取り組む事業者向けの制度です。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内

・保証限度額・・・・・・・2億8千万円

この制度を活用するには、経営サポート会議での検討などにより、事業再生に向けての計画を策定することが必要です。経営サポート会議については、大阪信用保証協会「創業・経営支援について」をご覧ください。

大阪信用保証協会「事業再生計画実施関連保証(経営改善サポート保証)」

(3)大阪信用保証協会「事業再生計画実施関連保証(経営改善サポート保証)」感染症対応型【大阪】

コロナ禍でダメージを受け、事業再生に取り組む事業者向けの制度です。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内

・保証限度額・・・・・・・2億8千万円

上述の制度と同じく、経営サポート会議での検討などにより、事業再生に向けての計画を策定することが必要です。経営サポート会議については、大阪信用保証協会「創業・経営支援について」をご覧ください。

大阪信用保証協会「事業再生計画実施関連保証(経営改善サポート保証)」

(4)大阪信用保証協会「金融機関連携型事業性評価融資保証《ランクアップ型》(FR保証)」【大阪】

条件変更などの理由で新たな資金調達が困難であるものの、生産性や収益力を高める事業計画を持つ事業者向けの制度です。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内

・保証限度額・・・・・・・8千万円

これまえ紹介した保証制度と比べると、金額が小さいと感じるかもしれません。ただし資金調達が難しい中での8千万円は、貴重な一手となるでしょう。

大阪信用保証協会「金融機関連携型事業性評価融資保証《ランクアップ型》(FR保証)」

(5)大阪保証協会「提携保証(CSジョイント保証・CSジョイント保証プレミアム)」【大阪】

直近2期以上の決算・申告をしており、金融機関における一定の基準を満たした場合に活用できる制度です。

・保証期間・・・・・・・・・30年以内

・保証限度額・・・・・・・2億円

最大の特徴は30年という保証期間の長さ。超長期に利用可能な賃貸用不動産や発電設備の取得に、うってつけの制度と言えます。

大阪保証協会「提携保証(CSジョイント保証・CSジョイント保証プレミアム)」

(6)兵庫県保証協会の「経営改善借換保証(ぜんしん)」【兵庫】

借換えにより、毎月の返済負担を軽減したい事業者向けです。

・保証期間・・・・・・・・・20年以内(据置期間3年以内)

・保証限度額・・・・・・・2億8千万円(一般)/4億8千万円(組合)

当制度では、あらゆる保証制度の借換えが可能。毎月の返済負担を軽減することができます。

ただし申込人において、「プロパー融資の残高がある」「本保証と同時にプロパー融資を行う」という制約があり、特定の金融機関によるバックアップが前提となる商品です。

兵庫県保証協会の「経営改善借換保証(ぜんしん)」

(7)京都信用保証協会「京都経営サポート保証制度略称(スーパーロング資金)」【京都】

経営改善に伴う資金を調達したい事業向けです。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内

・保証限度額・・・・・・・2億円(一般)/8千万円(無担保)

経営の安定に支障をきたしているが、経営改善の可能性が高く、経営者に経営改善に対する強い意志が認められる場合に活用できる制度です。

京都信用保証協会「京都経営サポート保証制度略称(スーパーロング資金)」

(8)京都信用保証協会「事業承継サポート保証制度略称(事業承継)」【京都】

事業承継を検討している事業者向けです。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内

・保証限度額・・・・・・・2億円(一般)/8千万円(無担保)

持ち株会社が事業承継計画を実施するにあたって必要な資金に利用できます。

京都信用保証協会「事業承継サポート保証制度略称(事業承継)」

(9)京都信用保証協会「事業再生計画実施関連保証制度(国サポート)」【京都】

事業再生に取り組む事業者向けの制度です。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内

・保証限度額・・・・・・・2億円(法人)/4億円(組合) ※無担保の場合は8千万円

この制度を活用するには、経営サポート会議をはじめとした所定機関から、指導や助言などを受けて作成した計画に基づき、事業再生を行うことが必要です。

経営サポート会議とは、信用保証教会や金融機関が一堂に会して、経営支援の方向性や内容を検討する場のことです。詳しくは公式サイトをご確認ください。

京都信用保証協会「事業再生計画実施関連保証制度(国サポート)」

10)事業再生計画実施関連保証制度(感染症対応型)【京都】

上述した精度の、いわば“コロナ版”。保証期間や限度額も同じです。

・保証期間・・・・・・・・・15年以内

・保証限度額・・・・・・・2億円(法人)/4億円(組合) ※無担保の場合は8千万円

事業再生に関しては先ほどと同じく、所定機関の指導や助言などを受けて作成した計画に基づくことが必要です。詳しくは公式サイトをご覧ください。

京都信用保証協会「事業再生計画実施関連保証制度(感染症対応型)」

まとめ

保証協会の制度は多岐にわたるため、金融機関の担当者もなかなか全貌を把握していません。積極的に情報収集し、有利な条件で借入をできるように取り組むことをおすすめします。 ご不明な点があれば、ウェブサイトからお気軽にお問い合わせください。