最大1500万!「TOKYO地域資源等活用推進事業」とは?【東京都】

中小企業は、大手企業と違って“ヒト・モノ・カネ”が不足しています。でも、だからこそ!”地域”が既に持っているものを、うまく活用してみてはいかがでしょうか。

東京ならではの地域資源を活用して新商品を生み出したい、東京が抱える課題解決につながるサービスを開発したい……そんなチャレンジを後押ししてくれるのが、「TOKYO地域資源等活用推進事業」です。助成額や対象経費、採択事例などについて説明します。

TOKYO地域資源等活用推進事業とは?

TOKYO地域資源等活用推進事業とは、都内の中小企業などを対象にした事業です。

事業を行っているのは、公益財団法人 東京都中小企業振興公社。助成金によって開発やPRにかかる経費を助成し、ハンズオン支援によってマーケティングから販促まで幅広くサポートしています。

TOKYO地域資源等活用推進事業は、二つの区分があります。それぞれ見てみましょう。

(1)地域資源活用事業

東京ならではの地域資源を活用して、製品やサービスを開発・改良したい」と考える事業者向けです。

(引用)事業案内パンフレット

このように、地域資源は農林水産物に限りません。鉱工業品や生産技術も含まれます。

例えば、亀戸大根や練馬大根をはじめとした個性あふれる野菜、限られた地域でのみ獲れる奥多摩やまめや東京秋川アユなどの魚、そして江戸切子や江戸押絵羽子板といった歴史ある伝統工芸品……。

東京には、魅力的な地域資源がたくさん存在します。こうした地域資源に、独自の技術やアイデアを加えることができれば、「オンリーワン」の商品が開発できるかもしれません。

どのようなものが地域資源であるかは、東京都の地域資源一覧表で確認できます。ずらりと並ぶ地域資源を見ていると、アイデアが思い浮かぶかもしれません。一度、確認してみてください。

(2)都市課題解決事業

東京が抱える課題解決につながる製品やサービスを開発・改良したい」と考える事業者向けです。

(引用)事業案内パンフレット

東京は今、多くの課題を抱えています。新型コロナによって顕在化した感染症対策、首都直下地震などの災害の脅威などに加え、従来から意識されていた各種の幅広い課題があります。

あなたの事業も、これらの課題の解決に資するのではないでしょうか?一度、検討してみることをおすすめします。

令和4年(2022年)9月12日時点で公開されている公式サイトは以下です。

令和4年度 TOKYO地域資源等活用推進事業

主な支援内容

申請が通ると、「助成金」と「ハンズオン支援」の二つのサポートが受けられます。

(1)助成金

どちらの事業も、最大1500万円、助成率1/2以内。後述しますが、経費の幅も広く、大型の助成金です

(2)ハンズオン支援

地域応援アドバイザーやその他の専門家による、伴走型支援が受けられます。

(引用)事業案内パンフレット

このように、マーケティングや資金計画などの“入口”から、販路開拓や展示会への出店支援などの“出口”まで、充実した支援が特徴です。

商品やサービス開発は一筋縄ではいきません。知見や経験を持つ専門家のサポートは、中小企業にとって心強い存在となるでしょう。

助成対象となる経費

対象経費を見てみましょう。

<開発費>
・原材料・副資材費
・機械装置・工具器具費
・委託・外注費
・専門家指導費
・賃借費
・産業財産権出願・導入費
・直接人件費

 <試作品広報費>
・広告費
・展示会等参加費
・イベント開催費

補助対象経費の範囲が幅広く、中でも「原材料・副資材費」と「広告や展示会参加費等」が含まれる点が特徴的です。

TOKYO地域資源等活用推進事業の対象

対象となるのは、主に次の3つを満たす事業者です。

・中小企業者(会社・個人事業者)、中小企業団体等、一般財団法人、一般社団法人、特定非営利活動法人である。

・都内に本店または支店がある。

・引き続き1年以上事業を営んでいる(休業期間がある場合を除く)

詳しい内容については募集要項に書かれていますので、ご覧ください。

これまでの採択事例

過去の採択企業は、TOKYO地域資源等活用推進事業についてのページで見ることができます。

(引用)事業案内パンフレット

都市課題分野」については、かなり幅広い会社が対象となるテーマで事業計画を作れるのではないでしょうか。

さらに事例を知りたい方は、R3年度採択企業もご覧ください。

TOKYO地域資源等活用推進事業の採択率

令和3年(2021年)度は、地域資源活用事業が12件、都市課題解決事業が4件、合計16件が採択されています。

採択率については公表されておらず、明確ではありません。ただし申請に先立って相談会が開催されており、

・今考えている内容でTOKYO地域資源等活用推進事業に応募できるか

・アイデアを申請書にどう落とし込めばよいか

・地域資源とは?都市課題解決と地域資源活用のコースの違いは?

・どのように全体の事業計画を考えればよいか

・本事業を活用した企業の事例が知りたい

など、気になることを相談することができます。申請を検討するなら、こうした機会も利用すると良いでしょう。

次年度以降も事業が実施されるかは、今のところ未定です。ただし当事業は、令和2年(2020年)度まで行われていた、TOKYOイチオシ応援事業の後継事業であると思われ、定番化される兆しも見えます。

地域資源の活用や都市課題の解決は、東京都にとって今後も大切な課題です。今後も引き続きサポートが続くことでしょう。

審査通過のための申請のポイント

審査の視点として挙げられているのが、次のポイントです。

・適格性・・・・・・・・・・・・地域資源または都市課題の根拠など

・新規性・優秀性・・・・新たな付加価値・比較優位性の要素、達成目標など

・実現性・・・・・・・・・・・・資金計画、社内外体制、経営資源など

・市場性・・・・・・・・・・・・マーケティング、販路の見通しや継続性など

・事業波及性・・・・・・・・地域経済への波及効果又は課題解決の波及効果など

また書類審査に加えて、面接も行われます。書類を丁寧に仕上げた上で、きちんと受け答えできるように準備しておくことが重要と言えるでしょう。

まとめ

TOKYO地域資源等活用推進事業は、地域資源に関する事業を行う企業にとって大きなチャンスです。地域資源に関わりのない企業も、自社の事業を「都市課題の解決」と再定義するきっかけとなります。次回の募集に備えて、一度“頭の体操”をしてみてはいかがでしょうか。

支援制度には、申請の要件や定量目標などの細かいルールがあります。きちんと満たすように心がけることが大切です。気になることがあれば、ウェブサイトからご相談ください。