最大8回!無料もしくは半額負担で相談できる「専門家派遣事業」【東京都】

経営課題、特に経験したことがない未知の課題を、スピーディかつ効果的に解決したいとき、頼りになるのが専門家です。

公益財団法人東京都中小企業振興公社では、東京都に主な拠点を置く中小企業や個人事業主などを対象に、専門家派遣事業を行っています。概要を紹介します。

さまざまな経営課題を解決へ!

中小企業が抱える経営課題はさまざま。自社内で解決しようにも、知識や経験が足りず、頭を抱えることも多いのではないでしょうか。

昔から「餅は餅屋」ということわざがある通り、専門家のアドバイスやサポートが、貴重な一手になることが少なくありません。

そこで公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下、公社)では、中小企業が抱える経営課題に対し、公社に登録している専門家の中から、該当する専門家を派遣する事業を行っています。

後述する通り、無料もしくは半額負担で専門家のアドバイスを受けることができるのが、この事業の特徴です。これまで費用面で二の足を踏んでいたなら、ぜひ活用してその効果を体験してみましょう。

令和4年(2022年)8月26日時点で公開されている公式サイトは以下です。

公益財団法人 東京都中小企業振興公社「令和4年度 専門家派遣事業」

なお中小企業庁も、全国各地で専門家派遣事業を行っています。詳しくは別記事「無料もしくは最大17,600円!専門家に相談できる「中小企業119」」をご覧ください。

専門家派遣事業のポイント

利用するにあたって、知っておきたい主なポイントを見てみましょう。

(1)都内の中小企業などが対象

公社による専門家派遣事業が利用できるのは、主たる事業所が都内にある、

・中小企業者

・個人事業主

・都内で起業を目指す方

です。

特に起業前後の事業者は「分からないことだらけ」です。早い段階で専門家のサポートを経験して、経営の選択肢を増やすことはとても有益です。

(2)無料もしくは半額負担

公社の専門家派遣事業は、5種類用意されています。全て無料もしくは半額負担で利用できます。詳しくは後ほど説明します。

(3)約300人の専門家が登録

中小企業診断士、ITコーディネータ、社会保険労務士、公認会計士、税理士など、多彩な専門家が登録しています。

登録数はおよそ300人。次のページで検索することができます。

公益財団法人 東京都中小企業振興公社「専門家情報検索」

5つの専門家派遣事業

公社では、5つの専門家派遣事業を行っています。

(1)専門家派遣事業

幅広い専門家の中から、企業の課題解決を支援する専門家を支援する事業です。

・派遣回数・・・・・・・・・最大8回(2名まで派遣可能)

・費用・・・・・・・・・・・・・11,750円+派遣に係る交通費実費の1/2

取り組み内容は、次のようなものがあります。

(引用)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「専門家派遣事業リーフレット」

また、千代田区や港区、台東区、豊島区、練馬区、足立区、日野市、立川市に所在地のある利用者に対しては、費用の一部を各区や市が補助する制度があります。

申請方法などの詳細については、窓口へ直接お問い合わせください。

(引用)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「令和4年度 専門家派遣事業」

(2)政策課題対応型専門家派遣事業

「環境・エネルギー」「デジタル技術活用」「防災・危機管理」は、政府が力を入れている分野です。これらの政策課題に取り組む企業に対し、専門家を派遣する事業です。

・派遣回数・・・・・・・・・最大4回

・費用・・・・・・・・・・・・・無料

(引用)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「政策課題対応型専門家派遣事業リーフレット」

これらの分野は、新しい知識や高度な技術が求められることも多いため、格安で専門家のアドバイスを受けることはたいへん有益です。

(3)サプライチェーン維持・確保サポート事業専門家派遣事業

サプライチェーンに関する悩みを持つ企業に対して、専門家を派遣する事業です。

・派遣回数・・・・・・・・・最大4回

・費用・・・・・・・・・・・・・無料

コロナ禍によって、「原材料の調達ができない」「部品の納期が間に合わない」といった事態が起こり、サプライチェーンの見直しが求められる昨今。原材料価格や輸送費の高騰、基幹部品の流通不足などにより、企業活動に重大な影響を受けた事業者も多いのではないでしょうか。

サプライチェーン維持・確保にかかる特別相談窓口で経営相談を行い、専門家のアドバイスが必要であると認められた事業者は、専門家派遣を受けることができます。

想定されるのがこういった相談です。

(引用)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「政策課題対応型専門家派遣事業リーフレット」

令和4年(2022年)2月、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が起き、世界のエネルギー・穀物等の供給に大きな影響を与えています。

また、中華人民共和国による台湾侵攻のリスクも高まっています。令和4年(2022年)8月には台湾侵略を想定した軍事演習が行われる事態に至り、多くの専門家が抑止力強化の必要性を指摘しています。「侵略はもはや時間の問題」と指摘する専門家もいます。

こうした状況下、資源価格の高騰、海上輸送への支障、特定国を対象とした禁輸等を含めた各種リスクを想定してサプライチェーンを改善することは大切です。特に製造業では急務と言えるでしょう。

(4)原油価格高騰等課題解決に向けた専門家派遣事業

原油価格高騰に関する悩みを持つ企業に対して、専門家を派遣する事業です。

・派遣回数・・・・・・・・・最大4回

・費用・・・・・・・・・・・・・無料

国際政治の混乱によって発生した原油価格高騰は、今後も続くと予想されます。これにより、「原材料費が上がる一方」「配送コストが上がり、収益を圧迫している」といった悩みを抱える事業者もますます増えることでしょう。

もし該当するなら、原油価格高騰等対応特別相談窓口で経営相談を行うのも一つの方法です。専門家のアドバイスが必要であると認められた事業者は、専門家派遣を受けることができます。

(5)事業復活支援金等受給者向け緊急支援専門家派遣事業

事業復活支援金(国)などを受給した事業者に対して、専門家を派遣する事業です。

・派遣回数・・・・・・・・・最大4回

・費用・・・・・・・・・・・・・無料

対象となるのは、次のいずれかを受給した事業者です。

事業復活支援金(国)

一時支援金(国)

月次支援金(国

月次支援給付金(東京都)

課題解決のための専門家派遣に加え、販路開拓や新事業展開に関しても専門家の支援が受けられます。

なおこの派遣事業においては、「ECサイトの専門家」と「販路開拓の専門家」など、複数の専門家による支援も可能です。ただしその場合、1回の派遣で2回と数えられます。

まとめ

中小企業は大企業と違って、給与水準の高い専門職を雇用するのはハードルが高くなります。しかし、どうしても専門家が必要な場面は発生します。

まずは補助を受けた派遣制度を活用し、いざというときに頼れる専門家とつながりを作ることは有意義だと思います。費用負担も軽いので、お気軽にご検討ください。