いわゆる“男社会”だったビジネスの世界。近年では、起業家として活躍する女性や若者、シニアも増えてきました。
ところが創業するには、「融資のハードルが高い」「事業計画書はどう書けばいい?」といった“初めての壁”が立ちはだかります。そんな悩みや不安にワンストップで応えてくれるのが、東京都の「女性・若者・シニア創業サポート事業」です。
女性・若者・シニア創業サポート事業とは?
「女性・若者・シニア創業サポート事業」とは、地域に根差した創業をサポートするために、東京都が行っている事業です。
例えば、こういった創業が対象です。
創業というと、「上場するような大きな会社を興す」イメージがあるかもしれません。でもこれらの例を見ると、「経験を活かしたサービス業を立ち上げたい」「地域密着のお店をつくりたい」など、個人でも始められる事業の創業を想定しているのが分かります。
対象となるのは、女性や若者(39歳以下)、シニア(55歳以上)。「都内で創業を計画している方」に加えて、「都内で創業5年未満の方」も利用できます。
女性・若者・シニア創業サポート事業の大きな特徴は、都内の信用組合や信用金庫、さらには創業支援を行っている地域創業アドバイザーと連携していること。そのため、
・無料セミナー
・個別相談
・低利かつ無担保の融資
・事業計画書へのアドバイス
・経営サポート
など、事業計画立案から創業後のアドバイスまで、まるで“手取り足取り”の充実したサポートを受けることができるのです。
一連のサポートの中で、特に注目したいのが「融資」です。
創業するにあたり、先立つものは何と言っても資金。日本政策金融公庫の調べによると、創業費用の平均は941万円。もちろん業種や規模にもよりますが、まとまった資金が必要となります。
女性・若者・シニア創業サポート事業を活用すれば、有利な条件で融資を受けることができるので、事業を軌道に乗せ、成長させられる可能性がぐっと高まります。詳しくは、次の「活用するメリット」で見ていきましょう。
令和4年(2022年)10月25日時点で公開されている公式サイトは以下です。
活用するメリット
女性・若者・シニア創業サポート事業を活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットを5つ紹介します。
(1)低金利(固定年利1%以内)で融資が受けられる
大きなメリットとして挙げられるのが、低金利で融資が受けられるという点です。
ちなみに日本政策金融公庫の創業融資だと、金利が約2%。比較すると、「固定金利1%以内」がいかに低金利かが分かります。
創業するには、多額の資金が必要です。そして借りる金額が大きくなればなるほど、同時に大きくなるのが利息。最大でも1%という低金利は、「なるべく低金利で借りたい」という想いに答えてくれます。
また、基本的には担保不要(※)のため、創業を考えている方にとって、心理的な負担が少なくて済むという点もポイントでしょう。
※法人は代表者個人が保証人となるケースがあります。
(2)信用保証協会の保証料が不要
信用保証協会の保証料がいらないというのも、創業者にとっては大きなメリットです。
融資を受ける場合は通常、信用保証協会を利用するため保証料(おおむね年率0.5%~2%程度)が発生します。ところが女性・若者・シニア創業サポート事業は、信用保証協会を利用しないため、保証料を用意しなくても良いのです。
例えば1000万円借りるなら、年間およそ5~20万円の保証料を払う必要があります。この数字がゼロで済むというのは、創業期には大きな助けとなることでしょう。
なお融資の条件は、
・融資限度額:1,500万円以内(運転資金のみは750万円以内)
・返済期間10年以内、据置期間3年以内
となっています。事業パンフレットで相談窓口をご確認の上、気になることは直接お問い合わせください。
(3)東京都の「創業助成金」も申し込める
何かとお金がかかる創業期。使える助成金が増えるのも、この事業のメリットです。
女性・若者・シニア創業サポート事業を利用することによって、東京都の創業助成事業の申請要件を満たすことができます。その結果、創業助成金にも申請が可能になります。
創業助成金は、助成率2/3、最大300万円。器具備品購入費に加え、賃借料や従業員人件費が対象経費となるので、創業期にはありがたい助成金です。
ただし申請要件は、変更になる可能性もあります。創業助成事業ページで最新の要項をチェックした上で、ご利用ください。
(4)さまざまな無料セミナーや個別相談が受けられる
創業時は、分からないことが次々と出てきます。女性・若者・シニア創業サポート事業では、無料の各種セミナーや個別相談を受けることができます。
詳しくは、「セミナー・個別相談」ページをご覧ください。
(5)無料で経営アドバイスを受けられる
融資を受けるのも大変ですが、その後が本当の勝負。女性・若者・シニア創業サポート事業では、融資前だけでなく、融資実行後も手厚いフォローを受けることができます。
「販路はどうやって広げればいいのか」「事業計画をどうやって作るのか」「従業員の採用や教育、労務管理はどうしたらよいのか」など、創業者の悩みは尽きません。適切なタイミングで、実践的な経営アドバイスを受けることができたら、可能性を切り拓く一手となることでしょう。
さらに、「決算書作成アドバイス」が受けられるのも、創業期にはありがたい点です。これまで経理業務をしたことがない方もいると思います。そうした事業者は、専門家の税理士から、経理・決算書作成・税務申告までのアドバイスを受けることができ、本業の拡大に注力することができます。
なお、当社は女性・若者・シニア創業サポート事業の認定アドバイザーと連携しており、必要に応じてご紹介もしています。
(参考)2022年度 アドバイザー一覧表
これまでの事例と採択率
これまでの事例は、事例紹介ページに掲載されています。
登場しているのは、米粉を使った洋菓子店を立ち上げた女性や、「IoTとスマート農業の融合」をテーマに、「環境モニタリング」等の製品システムを提供しているシニアなど。事業内容や支援内容、事業を利用して良かった点などが分かるので、読めばイメージがわくことでしょう。
漫画で知る事業の話でも、分かりやすい事業の説明があります。まずはこちらを読むのも良いでしょう。
なお採択率に関しては、創業サポート事業自体には審査がありません。セミナー・個別相談ページから希望のメニューを選び、申し込みをしてください。ただし、融資には金融機関の審査が、助成金には事務局による審査があります。
まとめ
「女性・若者・シニア創業サポート事業」は、女性・若者・シニアの創業を促すという政策目的に沿って立案された、きわめて手厚い優遇措置です。この制度が利用できる創業希望者は、第一候補として利用を検討することをおすすめします。
気になることがあれば、ウェブサイトから気軽にご相談ください。