ノンリコースローンで賃貸住宅を建設!不燃公社の「責任財産限定保証」

賃貸物件を建てたい、でも空室や災害でローンを返済できなくなったらどうしよう……そんな賃貸オーナーをサポートしてくれる制度が、令和5年(2023年)10月に始まりました。

この記事では、一般財団法人 首都圏不燃建築公社(以下、不燃公社)による「責任財産限定保証」について紹介します。

「責任財産限定保証」とは?

賃貸経営にはリスクがつきものです。「予期せぬ空室が大量に出た」「思わぬ災害で大きな被害を受けた」といったリスクで収入が減ると、賃貸オーナーはローン返済が困難になってしまいます。

建設費用が高い施工会社もあるため、物件を処分しても不足が生じるケースが少なくありません。

その場合は自己資産から返済する必要があり、場合によっては、担保に入れていた自宅を失ったり、配偶者ともども自己破産を余儀なくされたりする可能性もあります。家族もそうした不安から、建設に反対するケースも少なくないようです。

なるべくリスクを回避しながら、建設資金を用意したい……そんなときに活用したいのが「責任財産限定保証」です。

この制度を利用すると、万が一ローンが返せなくなったときも、物件処分後の残債を不燃公社が負担。責任財産はあくまで融資対象物件のみ。預金や自宅など、家族のための資産を守ることが可能です。

つまりこの制度は、ローン返済の責任範囲を限定できる「ノンリコースローン」。比較的経験が浅い建築主におすすめと言えそうです。

令和5年(2023年)11月17日時点で公開されている公式サイトは以下です。

責任財産限定保証の導入について

首都圏不燃建築公社とは?

不燃公社は、昭和36年(1961年)に設立された公益法人(現在は一般財団法人)です。

首都圏および周辺地域の建造物を不燃化することを目的として、市街地再開発や賃貸住宅のリフォーム・リノベーション事業などを手がけています。

その一環として行っているのが融資保証事業。賃貸オーナーが不燃公社に一定の保証料を支払うことで、建設資金の融資を受ける際の債務保証を行ってくれるのです。

個人名義で事業を営む賃貸オーナーは「いざという時に配偶者を巻き添えにはできない」という理由で、二の足を踏む方も少なくないでしょう。そのような場合に不燃公社の保証を検討してみてはいかがでしょうか。

主な内容

責任財産限定保証の概要を見てみましょう。

(1)保証金額

保証金額は原則として「7億円未満」です。既存の責任財産限定保証がある場合は、既存と新規の合計が7億円未満となります。

(2)対象となる融資

対象となる融資は、次の機関が提供している賃貸住宅建設資金融資です。

(1)住宅金融支援機構

(2)不燃公社が提携する民間金融機関

(1)住宅金融支援機構

旧「住宅金融公庫」です。融資商品は融資・金融商品のご案内ページで確認できます。

(2)不燃公社が提携する民間金融機関

不燃公社が提携している民間金融機関は次の通りです。

(引用)一般財団法人 首都圏建築不燃公社「融資保証事業」

ただし令和4年(2022年)4月1日時点での情報ですので、当保証制度をご利用の際は、最新情報をご確認ください。

(3)主な利用条件

次の三つが、利用するための主な条件です。

(1)個人での申し込みであり、融資対象に土地取得費を含まないもの。

(2)原則として申込時に適切と認められる長期修繕計画書などの提出を行い、計画内容に基づく修繕工事の実施などを誓約できること。

(3)建設地その他について、公社の定める審査基準を満たすこと。

(2)に書かれた「長期修繕計画書」とは、マンションの大規模修繕や定期点検などの予定を、「10年・20年」などの長期間を見据えて作成する計画のこと。修繕積立金の根拠となるため、賃貸オーナーにとっては大変重要な計画です

長期修繕計画書は、管理組合で専門の管理会社に委託している場合には、管理会社が作成します。ですが、自主的に長期修繕計画を作る大家は少数派かと思います。

不燃公社の求めに応じて計画を作ることで、経営の安全性が高まります。これを機会に取り組んでみても良いのではないでしょうか。

(4)保証料

この制度を利用する場合、次の保証料を支払います。

(引用)一般財団法人 首都圏建築不燃公社「責任財産限定保証」

比較的低い料率で保証が受けられます。ただし金利は別途かかるため、しっかり検討することが大切です。

まとめ

今回紹介した不燃公社の「責任財産限定保証」は、個人のマンションオーナーのリスクを下げる商品といえます。プロの賃貸事業者には不要かもしれませんが、初めて建設するような事業者にとっては、とてもありがたい制度ではないでしょうか。

気になることがあれば、ウェブサイトからお問い合わせください。