知的財産関連の助成制度一覧【東京都】

知的財産権は、競争力のもととなる重要な無形資産です。ところが取得にお金がかかるため、躊躇する事業者も多く見られます。

東京都では、(公財)東京都中小企業振興公社が運営する東京都知的財産総合センターが窓口となり、費用の一部を助成する様々な事業を行っています。

この記事では、同センターが行っている助成事業を紹介しています。ぜひ参考にしてください。

知的財産権にまつわる東京都の助成制度

東京都知的財産総合センターとは、都内中小企業の知的財産に関する支援を行う機関です。東京都が設立し、公益財団法人 東京都中小企業公社(以下、公社)が運営しています。

令和3年(2021年)10月6日時点、同センターでは次のような助成事業を行っています。

・外国特許出願費用助成事業
・外国実用新案出願費用助成事業
・外国意匠出願費用助成事業
・外国商標出願費用助成事業
・外国侵害調査費用助成事業
・特許調査費用助成事業
・外国著作権登録費用助成事業
・グローバルニッチトップ助成事業
・海外商標対策支援助成事業
・知的財産活用製品化支援助成事業

助成金の対象となるのは、東京都内で実質的に事業を行っている中小企業者(会社及び個人事業者)、中小企業団体、一般社団・財団法人です。

▼中小企業の定義

出典:募集要項

「東京都内の事業所で実質的に事業を行っている」とは、

・法人・・・・・・東京都内に登記上の本店がある。
・個人・・・・・・開業届を提出し、都内で営業している。

ということを前提に、基準日時点で1年以上事業を行っていることが必要です。

助成事業の紹介

それぞれの助成事業について、概要と助成率、助成額、対象経費を紹介します。

■外国特許出願費用助成事業

日本で取得した特許は、日本国内でしかその権利は使えません。
優れた技術を海外で活用するには、各国の特許庁への出願が必要です。その手続きにかかる費用の一部を助成する事業です。

・助成額・・・・・・最大400万円
・助成率・・・・・・1/2
・対象経費・・・・外国出願手数料・審査請求料・中間手続費用・代理人費用・翻訳料・先行技術調査費用・国際調査手数料・国際予備審査手数料など

公式サイト

外国特許出願費用助成事業(令和3年度)

■外国実用新案出願費用助成事業

特許と実用新案は似た制度ですが、実用新案は特許庁での審査がありません。審査がない分、短い時間で取得でき、費用も抑えられることが利点です。
海外において知的財産侵害の訴訟リスクを避けるためには、特許権より簡便な実用新案権を取得するのも一つの方法です。その手続きにかかる費用の一部を助成する事業です。

・助成額・・・・・・最大60万円
・助成率・・・・・・1/2
・対象経費・・・・外国出願料・弁理士費用・翻訳料・先行技術調査費用・国際調査手数料・国際予備審査手数料など

公式サイト

外国実用新案出願費用助成事業(令和3年度)

■外国意匠出願費用助成事業

意匠権とは、製品の独創的なデザインを守る権利です。
優れたデザインを海外で活用するには、各国の特許庁への出願が必要です。その手続きにかかる費用の一部を助成する事業です。

・助成額・・・・・・最大60万円
・助成率・・・・・・1/2
・対象経費・・・・外国出願料・弁理士費用・翻訳料など

公式サイト

外国意匠出願費用助成事業(令和3年度)

■外国商標出願費用助成事業

商標は、自社の商品と他社の商品を見分けるための目印となる、重要なマークです。
海外で製品展開をする場合、模倣品が出回るのを防ぐためにも、各国の特許庁に商標登録をしておくことが望ましいでしょう。その手続きにかかる費用の一部を助成する事業です。

・助成額・・・・・・最大60万円
・助成率・・・・・・1/2
・対象経費・・・・外国出願料・弁理士費用・翻訳料など

公式サイト

外国商標出願費用助成事業(令和3年度)

■外国侵害調査費用助成事業

外国において製品を展開する場合、自社の製品を模倣され、権利が侵害されるリスクはゼロではありません。
その場合は、事実確認調査や侵害品の鑑定、侵害先への警告などに費用が必要です。こうした費用の一部を助成する事業です。

・助成額・・・・・・最大200万円
・助成率・・・・・・1/2
・対象経費・・・・侵害調査費用・侵害品の鑑定費用・侵害先への警告費用・税関での輸入差止費用など

公式サイト

外国侵害調査費用助成事業(令和3年度)

■特許調査費用助成事業

新たな製品を開発する際、他社の特許権を侵害していないか「先行特許」の調査が必要になるケースがあります。
明確な事業戦略を立てて開発にあたる場合、調査にかかる費用の一部が助成されます。

・助成額・・・・・・最大100万円
・助成率・・・・・・1/2
・対象経費・・・・他社特許調査委託に要する経費

公式サイト

特許調査費用助成事業(令和3年度)

■外国著作権登録費用助成事業

日本で取得した著作権は、日本国内でしか効力を発揮しません。
優れた著作物を海外で活用するには、各国の特許庁への出願が必要です。その手続きにかかる費用の一部を助成する事業です。

・助成額・・・・・・最大10万円
・助成率・・・・・・1/2
・対象経費・・・・登録手数料・弁理士費用・翻訳料など

公式サイト

外国著作権登録費用助成事業(令和3年度)

■グローバルニッチトップ助成事業

グローバルニッチトップとは、ニッチな分野における世界市場でのトップ企業を意味します。

グローバルニッチトップとして活躍するには、特許や商標などを複数の国で出願しなくてはならず、多額の費用が発生します。また、知的財産権を巡るリスクに対し迅速かつ適切に対応するためには専門家のサポートが必要となるケースも少なくありません。

当事業では、必要な経費の一部を助成すると共に、知的戦略アドバイザーなどによる戦略策定から実施までの支援を、3年にわたり行います。

・助成額・・・・・・最大1000万円
・助成率・・・・・・1/2
・対象経費・・・・外国での該当製品・技術等に関する権利取得・維持に関する費用、知財トラブル対策費用(訴訟に要する費用は対象外)、先行調査費用(特許・商標・意匠・実用新案等)など

公式サイト

グローバルニッチトップ助成事業(令和3年度)

■海外商標対策支援助成事業

自社ブランドの海外展開をはかる場合、模倣品対策は重要です。
進出予定国において、ビジネスの障害となる他社類似商標などを取り消したり、無効化したりするには費用がかかります。そうした費用の一部を助成する事業です。

・助成額・・・・・・最大500万円
・助成率・・・・・・1/2
・対象経費・・・・情報収集関連費用・異議申立・不使用取消審判・無効審判・情報提供関連費用など

公式サイト

海外商標対策支援助成事業(令和3年度)

■知的財産活用製品化支援助成事業

公社では、独創的な技術・アイデアを新製品開発に結び付けるために、知的財産活用製品化支援事業を行っています。
当事業を利用して、なおかつ開放特許(特許権利者が、一般に開放している特許のこと)などの知的財産を活用してスピーディーに新製品を開発する場合、費用の一部が助成される事業です。

・助成額・・・・・・最大500万円
・助成率・・・・・・1/2
・対象経費・・・・共同研究・共同開発契約関連費用、設計・試作費用、機能評価費用など

公式サイト

知的財産活用製品化支援助成事業(令和3年度)

まとめ

知的財産権を取得することにより、権利侵害のハードルを高めることができます。ただし取得時に初期コストがかかり、その後に広く薄く効果を発揮する性質があるため、投資を怠りがちです。

権利を侵害されてからでは手遅れになります。経営上の危機管理に助成金をうまく活用しましょう。

助成金を受け取るには、申請の要件や対象経費などの細かいルールがあります。きちんと満たすように心がけることが大切です。気になることがあれば、ウェブサイトからお問い合わせください。