低金利で起業をサポート!「日本政策金融公庫」の融資

起業には、まとまった資金が必要です。ところが実績がない創業期に、銀行から大きな融資を受けるのは困難。そこで頼りになるのが「日本政策金融公庫」の融資制度です。

この記事では、最大7,200万円の融資が受けられる「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」と、最大3,000万円とやや金額は下がるものの、無担保・無保証で利用できる「新創業融資制度」を紹介します。

日本政策金融公庫とは?

日本政策金融公庫(以下、日本公庫)とは、政府が100%出資する公的な金融機関です。

特徴として挙げられるのが、積極的に創業を支援していること。全国152支店に「創業サポートデスク」が設置されており、創業を考える方の大きな味方と言えるでしょう。

創業期に日本公庫の融資を利用する、主なメリットを3つ紹介します。

(1)創業期でも融資を受けやすい

創業期でも比較的融資を受けやすいのが、大きなメリットです。

(引用)日本政策金融公庫「日本創業企業を支援」

日本公庫の位置づけは、“民間金融機関の取り組みを補完”する金融機関。そのため、銀行では融資が難しい場合でも、融資を受けられる可能性があります。

(2)低金利・固定金利

銀行の融資と比較して、金利が低く、全期間固定であることもメリットです。日本公庫による創業関連融資は、基本的に金利が2%前後。何かと資金繰りが苦しい創業期に、この低金利はかなり助かります。

返済期間も長めに設定されており、設備資金は最長20年。計画的に返済できるのもうれしいポイントです。

(3)信用力が高まる

信用力が高まるというのもメリットです。

日本公庫で融資を受けると、金融機関との取引実績となります。その“最初の一つ”があるかないかは大きな差。融資を受け、きちんと返済する。その積み重ねが、次の銀行で融資の審査を受けるときに、プラスの判断材料とされるのです。

日本公庫の創業関連融資、それぞれの特徴は?

創業期をサポートする「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」「新創業融資制度」について、それぞれの特徴を見てみましょう。

新規開業資金

「新規開業資金」は、新たに事業を始めようと考える方や、事業開始後7年以内の方を対象とした融資制度です。

・返済期間・・・・・・・・・運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)
設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)

・融資限度額・・・・・・・7,200万円(うち運転資金4,800万円)

このように、創業期に最大7200万円もの大きな融資が受けられるのが大きな魅力。信用保証協会の創業関連保証の最大3500万円と比較すると、枠が大きいことがわかります。

なお新規開業資金は、原則として担保と保証人が必要です。ただし条件を満たす場合、後ほど紹介する新創業融資制度の枠が使えるため、無担保・無保証で借りることができます。

新規開業資金の詳しい内容については、公式サイトをご確認ください。

(公式サイト)新規開業資金

女性、若者/シニア起業家支援資金

「女性、若者/シニア起業家支援資金」は、「女性・30歳未満・55歳以上」のいずれかの条件を満たしていることが大前提です。

その上で新規開業資金と同じく、新たに事業を始めようと考える方や、事業開始後7年以内の方を対象としています。

・返済期間・・・・・・・・・運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)
設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)

・融資限度額・・・・・・・7,200万円(うち運転資金4,800万円)

このように返済期間や融資限度額は同じですが、大きな違いは「金利」。担保を用意すると基本的に、特別利率(A・B・C)が採用される点が特徴です。

(引用)日本政策金融公庫「国民生活事業(主要利率一覧表)」※令和4年10月3日現在の情報

つまり新規開業資金と比べると、低金利で融資を受けられるということ。、「女性・30歳未満・55歳以上」の方は、より有利な「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用することをおすすめします。

なお「女性、若者/シニア起業家支援資金」も、原則として担保と保証人が必要です。ただし条件を満たす場合、後ほど紹介する新創業融資制度の枠が使えるため、無担保・無保証で借りることができます。

「女性、若者/シニア起業家支援資金」の詳しい内容については、公式サイトをご確認ください。

(公式サイト)女性、若者/シニア起業家支援資金

新創業融資制度

新創業融資制度は、いわば追加的な措置として位置づけられた制度です。

最大のメリットは、無担保・無保証で融資を受けられるという点。つまり自宅を担保に入れたり、法人代表者が連帯保証人になったりする必要がないのです。

「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」の利用を検討しているけれど、担保の用意が難しい……。

そんな場合、「新たに事業を始める方」「事業を開始して間もない方(税務申告を2期終えていない方)」という条件に当てはまるなら、新創業融資制度を利用することができます。 ただし無担保・無保証と手軽である分、いくつか注意点があります。

(1)融資限度額は3,000万円

これまで見てきた融資は限度額が7,200万円でした。新創業融資制度の場合、最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)と金額が下がります。

(2)自己資金の用意が必要

創業に必要な資金のうち、10分の1以上を自己資金として準備することが条件となります。

例えば創業資金を1000万円と考えているなら、100万円以上の準備をしなくてはなりません。本当に準備ができるのか、事前にきっちり考えておきましょう。

(3)金利がやや高め

担保も保証も不要ということは、裏を返すと、返済できなかった場合のリスクを日本公庫が負うということ。そのため金利がやや高めに設定されています。

(引用)日本政策金融公庫「国民生活事業(主要利率一覧表)」

このようにいくつかの制約はありますが、無担保・無保証というのは大きな魅力です。新創業融資制度の詳しい内容については、公式サイトをご確認ください。

(公式サイト)新創業融資制度

融資までの流れや必要なものは?

初めて融資を受ける場合、分からないことも多いでしょう。大まかな流れや必要書類など、知っておきたいポイントを紹介します。

(1)申し込みはインターネットが主体

融資を希望するなら、まずは日本公庫に申し込みを行います。窓口に行って申し込むこともできますが、近年ではインターネットでの申し込みが主流です。

・24時間365日、いつでも申し込み可能
・書類の郵送が不要

など、大変便利です。

(2)融資までの流れ

【1】相談(希望者のみ)

気になることがあれば、オンラインや支店窓口で相談ができます。詳細や申し込みは、予約相談ページをご覧ください。

【2】申し込み

インターネットもしくは窓口で申し込みを行います。利用方法については創業予定の方ページに、動画も掲載されています。

【3】面談

申し込み後、支店から電話がかかってきます。面接スケジュールを決めて、後日面談が行われます。当日は、創業計画書や、資産・負債などが分かる書類を提出して、面談します。

【4】融資

融資が決まると、借用証書など契約に必要な書類が送られてきます。手続きが終わると、希望した銀行口座に融資金額が振り込まれます。

(3)必要書類

融資を受けるにあたり、必要な書類は次の通りです。

・創業計画書

・設備資金申込の場合は見積書

・履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)

・担保を希望する場合は、不動産の登記簿謄本または登記事項証明書

・生活衛生関係の事業を営む場合は、都道府県知事の「推せん書」(借入申込金額が500万円以下の場合は不要)または、生活衛生同業組合の「振興事業に係る資金証明書」

・運転免許証(両面)またはパスポート(顔写真のページおよび現住所等の記載のあるページ)のコピー

・許認可証のコピー(飲食店などの許可・届出等が必要な事業を営む場合)

必要書類は、各種書式ダウンロードページでダウンロード可能です。インターネットで申し込む場合は、電子データとして用意します。郵送による申込手続きの場合は、「借入申込書(国民生活事業用)」の提出も必要です。

詳しくは創業予定の方ページをご覧ください。

まとめ

創業期に使いやすいのが日本公庫の創業関連融資。とはいえもちろん、日本公庫の審査に通らなくては融資を受けることはできません。事業計画書をきっちり書き、面接の練習をしておくことも大切です。

気になることがあれば、ウェブサイトからご相談ください。