スモールM&Aを行って事業を買収したい。だけど株式取得資金が十分でなく、借入を利用したい……。
そんなときに頼りになるのが、日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」(以下、事業承継融資)。事業承継前に審査・承認を得ることが可能で、最大7,200万円の融資を受けることができます。
日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫(以下、日本公庫)とは、政府が100%出資する公的な金融機関です。
支店は全国47都道府県に約150か所。理念に「民間金融機関の補完」を掲げ、事業承継に関する支援も積極的に行っています。
日本公庫の融資を利用する、主なメリットを3つ紹介します。
メリット(1)小規模事業者や個人事業主でも借りやすい
民間で断られたケースでも、融資を受けられる可能性があります。実際に、日本公庫の「スモールM&A向け融資」の実績はこの通り。
従業員数を見ると、5人以下が7割、20人以下が約9割を占めており、小規模事業者の利用が多いことが分かります。また個人事業主に対し、積極的に融資を行っているのも特徴です。
このように、およそ半数は個人事業主となっています。
メリット(2)金利が低い
営利目的の金融機関と比べると、低い金利で融資を受けることができます。
日本公庫による事業承継融資は金利が3%前後。特別利率が採用されると、より低い利率で借りることができます。
メリット(3)無担保でも借りられる
融資の約9割が無担保です。
担保がない場合はやや金利は高くなりますが、それでも担保を用意する負担がないのは魅力と言えるでしょう。より多額の融資を得たい場合には、担保の提供を求められる可能性があります。
令和5年(2023年)9月11日時点で公開されている公式サイトは以下です。
融資の概要
続いて、融資の概要を見てみましょう。
・融資限度額・・・・・・・7,200万円(うち運転資金4,800万円)
・返済期間・・・・・・・・・運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)
・返済期間・・・・・・・・ 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
・金利・・・・・・・・・・・・・基準利率もしくは特別利率A・B
このように最大20年間の長期融資を受けられる点には注目したいところです。
さらには、株式譲渡前に融資を受けられる可能性もあります。後ほど紹介する「融資までの流れ」を参考に、まずは相談してみてください。
なお利率は次の通りですが、担保を提供する場合には利率が下がります。
なお上表は、令和5年(2023年)9月1日現在の利率です。最新の情報に関しては、日本政策金融公庫「事業承継・集約・活性化支援資金」ページをご確認ください。
融資までの流れ
融資までの流れは次の通りです。
【1】相談(希望者のみ)
気になることがあれば、オンラインや支店窓口で相談ができます。詳細や申し込み方法は予約相談ページをご覧ください。
【2】申し込み
インターネットもしくは窓口で申し込みを行います。事業資金 お申込受付ページでは、24時間365日いつでも申し込み可能です。
【3】面談
申し込み後、支店から電話がかかってきます。面接スケジュールを決めて、後日30分ほどの面談が行われます。
【4】融資
融資が決まると、借用証書など契約に必要な書類が送られてきます。手続きが終わると、希望した銀行口座に融資金額が振り込まれます。
必要書類
融資を受けるにあたり、必要な書類は次の通りです。
<個人>
・最近2期分の申告決算書(申告している方)
<法人>
・最近2期分の確定申告書・決算書(勘定科目明細書を含む)
・最近の試算表(※)
※「決算後6か月以上経過している」または「事業を始めたばかりで決算を終えていない」場合。
<設備資金の申込>
・見積書
<はじめて利用する場合>
・創業計画書
・企業概要書(創業計画書を提出すると不要)
・法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人)
・運転免許証またはパスポートのコピー
・許認可証のコピー(飲食店など許可届出等が必要な事業を営んでいる場合)
なお必要書類は、各種書式ダウンロードページからダウンロード可能です。
インターネットで申し込む場合は、電子データとして用意します。郵送による申込手続きの場合は、「借入申込書(国民生活事業用)」の提出も必要です。
まとめ
いわゆる「団塊の世代」の引退がすすむ昨今、事業承継の円滑化は中小企業政策上の重要テーマとなっています。そこで今回は、保証料が不要な日本政策金融公庫の商品をご紹介しました。
気になることがあれば、ウェブサイトからお問い合わせください。