【東京都】中小企業向けの補助金(助成金)情報は、いつ、どこで、手に入る?

事業の拡大・転換を検討している中小企業にとって、一歩を踏み出すきっかけになる助成金制度。東京都では、都内の中小企業を対象に、独自の助成金を多数用意しています。

ところが年度ごとの変動も多いため、情報がさほど浸透していないのが現状。したがって競争率は、国の補助金よりも低くなる可能性が高く、情報収集力によりチャンスを獲得できる可能性に差が出やすいと思われます。

提供されている制度を活用するためには、まずは情報をつかむことが大切です。いつ、どこで手に入るのでしょうか?この記事では、意識しておきたい重要なタイミングを紹介します。

東京都の助成金は「随時」募集される

募集は決まった時期ではなく、随時行われます。都内に事業所があり、「助成金を活用したい」とお考えなら、まずは公益財団法人 東京都中小企業振興公社(以下、公社)のサイトをチェックしましょう。

助成金事業ページのお知らせ欄や、最新プレスリリースなどに、随時情報が掲載されます。

公社は、中小企業のための公的機関です。東京都と連携し、助成金制度をはじめとした幅広いサービスを展開しています。

例えば現在、次のような助成金が用意されています。

(引用)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「助成金事業」

このように製品開発や設備投資をはじめ、創業期向けや危機管理など、あらゆる分野をカバーしており、さまざまな中小企業に補助を受けるチャンスがあります。

6月頃には東京都の「提案要求」もチェック

助成金の活用を考えているなら、6月頃に発表される「提案要求」に注目してください。

提案要求とは、東京都から国に対して「翌年度はこれぐらいの予算が必要です」という内容をまとめたもの。その内容を見ることで「翌年度はどのような助成金が出るだろう?」という見当をつけることができます。

最新の情報として、令和4年(2022年)6月の提案要求を見てみましょう。

(引用)東京都政策企画局「令和5年度 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求」

前年度に引き続き、コロナ関連や脱炭素に関する助成金が見込まれます。また、働き方改革、災害対策のためのインフラ整備にも問題意識が見られます。

なお、提案要求が6月に行われるのは、ちょうどこの時期、国の各省庁が財務省に提出するための書類をまとめているため。

国税庁「税の学習コーナー」を参考に作成。

国の補助金に関しては、1月に予算が成立し、3月ごろに公募が始まるものがほとんどです。詳細については、別記事「どんな補助金がいつ出る?予算の『年間スケジュール』を把握しよう」をご覧ください。

7~8月頃には東京都の「重点政策方針」もチェック

7月から8月にかけて、東京都が発表する「重点政策方針」にも目を光らせておきましょう。翌年度の助成金を予測する上で、一つの判断材料になります。

重点政策方針とは、どのような政策に重きをおくのかという方針をまとめたもの。その時々の課題に合わせて、毎年つくられます。

最新の情報として、令和4年(2022年)7月に発表された「重点政策方針2022」を見てみましょう。

(引用)東京都政策企画局「「未来の東京」の実現に向けた重点政策方針2022」

先ほど「提案要求」でも見た通り、助成金が見込めるのはやはりコロナ関連や脱炭素などの分野。働き方改革や災害対策のためのインフラ整備に関しても、何らかの形で助成金が見込めそうです。

2月~3月には予算成立

2月から3月にかけて、都議会での可決を経て予算が成立し、助成金事業がスタートします。どのように決着したのか確認しておくことをおすすめします。

例えば、令和4年(2022年)度の予算は、3月25日に成立しました。総額は7兆8010億円で、過去最大の規模。予算規模が拡大し、今年度の助成金は充実した内容となりました。

(参考)日本経済新聞「東京都の2022年度予算成立 過去最大の7兆8010億円」

補正予算も随時チェックを!

補正予算が組まれると、新たな助成金が登場する可能性があります。ぜひ「補正予算」というキーワードを見たら、こまめにチェックするようにしてください。

補正予算とは、年度の途中で組まれる予算のこと。大きな災害が起きた、景気が急激に悪化した……そんな社会情勢の変化に対応するために組まれます。

例えば、令和4年(2022年)9月、東京都は総額6029億円の補正予算案を発表しました。

主な要因は、ウクライナ情勢や円安に伴う燃料費の高騰。運輸事業者には、営業用の貨物車1台あたり2万3千円、営業用の軽貨物車1台あたり8千円を支援する方針です。

公社以外が行っている助成金制度

ここまで、公社が企画・運営している助成金について見てきました。都内の中小企業を対象とした補助金や助成金は他にもあります。ぜひあわせてチェックしてください。

東京23区

東京23区でも各区の実情に合わせて、補助金や助成金の制度が設けられています。「〇〇区+補助金」「〇〇区+助成金」などのキーワードで、自社でも使える助成金がないか検索してみてください。

例えば大田区が行っているのが、ものづくり工場立地助成事業です。工場の建設にあたって、最大1000万円の助成金を受けることができます。

他にも中央区では、新たに独自のECサイトを構築する際に活用できるECサイト活用補助金を用意。最大6万円と金額は大きくないものの、補助率は10分の10、申請書もシンプルです。(この種の小型の補助金は、小規模事業者を対象とすることが多くなっています。区や商工会議所から送られてくる案内にも、できるだけ目を通すようにしましょう。)

クール・ネット東京

省エネに関する設備投資を考えているなら、公共財団法人 東京都環境公社のサイト「クール・ネット東京」もチェックしてください。

サイト内の補助金・助成金というページにある「事業所の方」という項目をクリックします。次に、

・省エネ・再エネ・創エネ機器の導入

・省エネコンサルティングの実施・運用改善への取り組み

・環境にやさしい自動車等の導入

・EV充電設備の設置

・水素エネルギー関連設備

という項目が出てきますので、当てはまるものを選択してください。すると、

(引用)クール・ネット東京「補助金・助成金ナビ」

このように、受給できる可能性のある補助金や助成金のみが表示されます。

東京都産業労働局

東京都産業労働局とは、経営・技術支援、創業支援など、さまざまな商工施策を通して、中小企業を応援する機関です。

公社と比べると数は多くありませんが、東京都産業労働局でも独自の補助金や助成金制度を用意しています。

例えば、Buy TOKYO推進活動支援事業は、東京の特色ある優れた商品の販売やPR活動を行う中小企業を支援する制度です。

1年目は最大1000万円、2年目は最大600万円、コーディネーターによるハンズオン支援も受けられるなど、手厚い内容となっています。

他にどのような制度があるかは、東京都産業労働局「経営支援」でご確認ください。

まとめ

補助金や助成金に申請するには、いち早く情報を得た上で、準備を整える必要があります。採択されるための書類を揃えるには時間と手間がかかるため、早くから準備をしておくことが必要といえるでしょう。

当社では、事業再構築補助金、ものづくり補助金をはじめ、各種補助金等のサポートを行っています。まずはお気軽にウェブサイトからご相談ください。