どんな補助金がいつ出る?予算の「年間スケジュール」を把握しよう

補助金を活用したいと考えているものの、「どんなタイミングで発表されるのだろう?」「申請したいと思ったら公募の〆切を過ぎていた」という事業者も多いのではないでしょうか。

補助金は、国や地方自治体などの議会で決まる予算に基づき、実施されます。機を逃さず申請するには、予算に関する年間スケジュールを把握しておくことが重要です。

この記事では、予算に関する年間スケジュールや、補助金情報を見逃さないためのポイントを紹介します。

国の予算成立の流れ

国が補助金を出すには、当然ながらお金がかかります。その元手となるのが「国家予算」。毎年次のような流れで成立します。

国税庁「税の学習コーナー」を参考に作成。

まずは5月頃から8月にかけ、各省庁がいわば“見積書”をつくるところからスタート。その後、財務省や内閣が内容を検討し、国会で議決されると成立します。

ポイントになるのが8月末の概算要求です。概算要求を起点として、流れを詳しく見ていきましょう。

8月末:各省庁が「概算要求」を提出

8月末には、各省庁が財務省に概算要求を提出します。

概算要求とは「翌年度はこんなことに、これぐらいの予算が必要です」という内容を記したもの。分かりやすく言えば“見積書”です。

財務省では概算要求に先立って、各省庁に「概算要求基準」を提示しています。これはいわば予算方針。歳出額を抑える意味で「シーリング(天井)」と呼ばれることもあります。

予算方針の提示を受けた各省庁は、「最大限生かすにはどうすれば良いだろう?」という観点で、概算要求をつくります。その後の調整で、金額の増減や内容の修正が行われますが、よほどの大災害などが起きない限り、大枠は維持されます。

つまり、概算要求の内容を見れば、翌年度の補助金の概要を把握できるということ。

概算要求が発表されるのはおおむね9月頭。先日、令和5年(2023年)度の概算要求も出揃いました。詳しい内容については後述します。

9月~:財務省内での調整

9月からは、予算成立に向けて財務省内での調整がスタートします。

各省庁から提出された概算要求の内容を見て「政府の方針に合致しているか?」「適切な額だろうか?」「費用対効果は?」といった観点で精査し、予算の原案を作成。「財務省原案」として内閣に提出します。

12月:内閣が予算案を作成

閣議によって、政府予算案が決まります。

なお、令和4年(2022年)度の政府予算案は、令和3年(2021年)12月24日に発表されました。

(引用)令和4年度予算政府案

中小企業関連は、令和4年度予算政府案の「経済産業、環境、司法・警察係予算」という項目をご覧ください。

1月~3月:国会での審議を経て、予算成立

政府予算案は、1月に召集される通常国会で話し合われます。衆議院、続いて参議院で議決されると、予算が成立。3月末までに決まらない場合は、一時的な仮の予算として「暫定予算」が組まれます。

なお、令和4年(2022年)度予算が成立したのは3月22日。戦後4番目の早さで、政府案通りに成立しました。

随時:補正予算

8月末の概算要求から始まって、3月頃に国会で成立する予算。これを「通常予算」または「本予算」といいます。

ところが、いったん予算が組まれても、予定通りいくとは限りません。大きな災害が起きた、社会経済の状況が大きく変わった……すると、予定していた予算では足りなくなくなるケースがあります。

そんなときに組むのが「補正予算」です。

補正予算は「当初予算成立後の情勢の変化により、当初予算通りの執行が困難になった時に、本予算の内容を変更するように組まれた予算」です。補助金にも深く関わりますので、ぜひ情報を入手するようにしてください。

補助金情報を見逃さないためのポイント

ここまで予算成立までのスケジュールを見てきました。この流れと連動して、

2月頃に補助金の事務局が稼働

3月頃に公募がスタートする

というのが一般的なスケジュールです。

「情報を見逃していて、申請に間に合わない」といった事態を防ぐために、意識したいポイントをお伝えします。

ポイント(1)9月には概算要求をチェック

9月頭には、概算要求をチェックしましょう。その内容をひもとくことで、どのような補助金が出そうか、ある程度探ることができます。

なお先日、令和5年(2023年)度の概算要求が行われました。経済産業省では、中小企業対策費に1343億円を計上。これは前年度と比べて248億円の上積み22.6%増です。

また新しく、後継者支援ネットワーク事業を4億円という規模で盛り込みました。事業承継に関する補助金が期待できると思われます。

ポイント(2)中小企業庁のサイトを随時チェックする

中小企業庁の「補助金等公募案内」では、「どのような補助金が公募されているのか?」という情報を見ることができます。

(引用)中小企業庁「補助金等公募案内」

通常予算による補助金だけではなく、補正予算による補助金も掲載されます。随時チェックすることをおすすめします。

ポイント(3)中小企業庁のメールマガジンを購読する

中小企業庁では、施策に関する最新情報をはじめ、中小企業の経営事例や各種セミナー情報を、メールマガジンで配信しています。

(引用)「e-中小企業ネットマガジン」

「中小企業庁のサイトはこまめに確認するつもりだけれど、つい忘れそう」という方は、「e-中小企業ネットマガジン」のページで、登録しておくと良いでしょう。

まとめ

補助金に申請するには、いち早く情報を得た上で、準備を整える必要があります。採択されるための書類を揃えるには時間と手間がかかるため、早くから準備をしておくことが必要といえるでしょう。

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