M&Aで買収を検討中!M&A仲介会社はどこに依頼すればいい?

成長戦略の一つとして、M&Aを活用する中小企業が増えてきました。ただし工程が複雑で固有のリスクがあるため、未経験の会社が自社だけで成立させることは、一般的にハードルが高いといえます。M&Aを成功させるためには、適したパートナーに依頼する方が良いでしょう。

そこで今回は、「金融機関」「大手M&A仲介会社」「コンサル・士業系」「プラットフォーマー」「業種特化系」に分けて、それぞれの特徴や報酬体系、依頼するときに注意したいポイントなどを紹介します。

M&Aのパートナー(1)金融機関

銀行や信用金庫などの金融機関が行うM&A支援は、相手企業探しや融資、アドバイザリー業務などが主な内容です。

普段から取引している金融機関であれば、会社の実情をよく理解しています。そのため気軽に相談でき、話を進めやすいというのは大きな利点といえるでしょう。

特徴

金融機関の特徴は、何といっても融資ができることです。買収資金が必要な場合、銀行からの融資を受けることで、スムーズな資金調達が可能になります。

また金融機関には幅広い取引先があり、営業エリア内の企業情報をしっかり把握しています。ネットワークを生かしながら、適した買収候補を探してくれることも魅力といえるでしょう。

加えて、紹介してくれる買収候補が金融機関の取引先である場合、金融機関が詳細な企業情報を把握していることも期待できます。

一般的な報酬体系

初期段階の相談は、ほとんどの場合無料です。その後、本格的なアドバイザリー業務に入ると着手金が発生し、その後は中間金や成功報酬などが必要となります。

ただしほとんどの金融機関では、M&Aの手数料を公開していません。取引内容によって異なるため、問い合わせが必要です。

一般的にメガバンクは大型案件を扱うことが多いため、手数料も高めに設定されていることがほとんどです。中小企業同士の取引の場合、まずは地方銀行や信用金庫・信用組合に相談することをおすすめします。

注意したいポイント

金融機関は中小企業にとって、M&Aの身近な相談パートナーといえます。ただし地方銀行や信用金庫・信用組合の場合は、M&Aに関する専門部署を設けておらず、担当者の経験が少ないケースもあります。

また、営業エリア内に詳しい一方で、営業エリア外に関しては把握していないことも想定されます。地域をまたいだM&Aや大規模なM&Aを考えているなら、次に紹介するM&A仲介会社を利用した方が得策かもしれません。

M&Aのパートナー(2)大手M&A仲介会社

M&A仲介会社は、買い手と売り手の間に入ってM&Aを進める点が、金融機関との大きな違いです。双方に適した相手を見つけるマッチング業務はもちろんのこと、クロージングに向けてさまざまなアドバイスを行います。

M&A仲介会社はM&Aの専門家です。多くの経営者にとって、M&Aは初めての経験。特に大手であれば豊富な実績を持っています。専門性の高いパートナーが併走してくれることは、大きな安心材料となることでしょう。

特徴

大きな特徴は、一方だけを支援するのではなく、その名のごとく「仲介」を行うという点です。買い手と売り手の間に立ち、両者の利益のバランスが取れるようにM&Aを進めます。

どちらかの利益に偏らないため双方が納得しやすく、友好的なM&Aになりやすい傾向があります。結果として、比較的短期間で交渉が成立する可能性も高くなります。

また、M&Aを専門としているため、高い専門性とネットワークを有していることも大きな特徴と言えるでしょう。

一般的な報酬体系

多くのM&A仲介会社では、相談料を無料にしています。ただし中には、相談料を必要とする会社もありますので、事前に確認しましょう。

業務委託契約を交わすと、着手金が発生します。その後は、リテイナーフィー(月額報酬)や中間金、成功報酬などを支払います。

注意したいポイント

一言でM&A仲介会社といっても、その内容はさまざまです。実現したいM&Aを成功させる経験やノウハウを持った会社を探すことが重要です。

また、M&A仲介会社に依頼すると、リテイナーフィーが発生する場合があります。リテイナーフィーとは、M&A仲介会社に毎月支払う定額の手数料。そのためM&A成立までに時間がかかればかかるほど、金額が大きくなります。

リテイナーフィーの有無や金額は、M&A仲介会社によって異なります。大手仲介会社は仲介手数料の下限を1,000万円程度に設定しており、買手側に一定以上の企業規模が必要であることにご注意ください。

その他の報酬に関しても、各社異なります。数社を比較検討して、トータルで判断することをおすすめします。

M&Aのパートナー(3)コンサル・士業系

M&A市場の拡大を受け、M&A支援を掲げるコンサルティングファームも増えてきました。依頼すると、M&Aに関する調査や分析、交渉をはじめ、さまざまなサポートを受けることができます。

また、公認会計士や弁護士などの士業においても、それぞれの専門分野を生かしたM&A支援を行っている専門家が増えてきました。普段付き合いのある士業に、まずは相談してみるのも一つの選択肢でしょう。

特徴

コンサルティングファームでは、主に“経営”という観点で、会社が抱える課題を抽出。M&Aの実行をサポートして、企業の価値を高めます。

士業は基本的に、それぞれの専門分野を生かした支援を行います。例えば公認会計士は財務の専門家として、財務デューデリジェンスや株価算定業務などを実行。税理士は税務の専門家として、税金対策に関するアドバイスをはじめ、税務や会計に関するサポートを行います。

一般的な報酬体系

コンサルティングファームの報酬体系は、おおむねM&A仲介会社と同じです。相談料を無料の場合が多く、業務委託契約を交わすと着手金が発生。その後は、リテイナーフィー(月額報酬)や中間金、成功報酬などを支払います。

士業の場合は、例えばデューデリジェンスを依頼する場合、その費用を支払います。アドバイザリー業務も依頼した場合は、追加で費用がかかります。

注意したいポイント

コンサルティングファームはそれぞれ得意分野が異なります。そのため、どのようなM&Aを実現したいか十分に考えた上で、その希望に応えてくれる経験やノウハウを持った会社を選ぶことが重要です。

士業に関しては、基本的に財務や税務などの専門家であるため、トータルのサポートを受けることは難しいのが一般的です。ただし、積極的にM&Aの支援をしている士業や、他の士業とチームを組んでM&A支援をする場合は、相談してみるのも一つの手段です。

M&Aのパートナー(4)プラットフォーマー(マッチングサイト事業者)

プラットフォーマーはマッチングサイトを運営し、買い手と売り手のマッチングをサポートするサービスを提供しています。仲介事業者などと比べると、多くの場合において報酬も比較的安価です。比較的小規模のM&Aを希望するなら、まずはマッチングサイトを利用するのが良いかもしれません。

特徴

多くの場合、買い手企業は自由に掲載案件を閲覧することができます。案件の中で気になる相手企業が見つかればアプローチして、交渉を開始するという流れです。そのため、シンプルな案件をなるべく時間をかけず検討するのに向いています。

また、あくまで主軸はマッチングですが、専門家のサポートが用意されているケースもあります。

一般的な報酬体系

多くの場合、売り手の利用は無料となっており、買い手は成約額に応じた成功報酬を支払います。

注意したいポイント

登録している会社の数や内容は、マッチングサイトによって異なります。コストは抑えられるものの、サービスにばらつきがあることは注意した方や良いでしょう。

サービスが始まったばかりのサイトであれば、登録数も少ない可能性があります。選択肢を増やすためには、なるべく登録数の多いサイトを選ぶことが重要です。

M&Aのパートナー(5)業種特化系

何らかの業種に特化したM&Aを行う会社もあります。例えば、医療や介護、薬局、飲食や建設などが挙げられます。

特徴

業種に特化した事業者、その業界に精通していることが大きな特徴です。業界ならではの特徴や市場環境、最新のM&A動向などをふまえた上で、最適なサポートを提供してくれます。

一般的な報酬体系

成功報酬はさまざまです。一般的なM&A仲介会社のように、着手金やリテイナーフィー(月額報酬)、中間金、成功報酬などを支払うケースもありますし、「成功報酬のみ」をうたっている業者もあります。

注意したいポイント

特化していることが魅力ですが、専門特化したからといって、すべての案件をカバーすることはできません。したがって、幅広い仲介者の情報を比較して検討することをおすすめします。

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金を獲得したいなら、別記事で紹介した、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」の利用についても検討すると良いでしょう。

気になることがあれば、ウェブサイトからご相談ください。