M&Aも対象、専門家費用をサポート!事業承継支援助成金とは?【東京都】

「父の会社を引き継いで、新製品を開発したい」「後継者として、新分野にも進出したい」「会社や事業を売りたい・買いたい」と考える都内の中小企業などは、事業承継支援助成金の対象となる可能性があります。

手塩にかけて育てた会社を存続させ、さらに発展させるには、新たなチャレンジや経営改善が欠かせません。そして経営者が交代するタイミングは、ある意味では新機軸を打ち出す絶好のチャンスと言えるでしょう。

最大200万円、助成率2/3の助成金が受けられる、東京都の「事業承継支援助成金」を紹介します。

事業承継支援助成金とは?

事業承継支援助成金はその名の通り、事業承継にかかる費用をサポートする助成金です。

ひと昔前までは、息子や娘など親族が跡を継ぐケースが一般的でした。ところが近年は後継者問題で悩む企業は多く、M&Aによって存続をはかることも増えています。

事業承継支援助成金は、親族内の承継はもちろん、M&Aによる承継も対象。外部専門家などに委託して行う取り組みに対し、その経費のサポートが受けられます。

第1回の申請期間は終了しましたが、「第1回」と書かれていることから、第2回以降の実施も見込まれます。何より中小企業の事業承継は、日本経済にとって重要な課題。コロナ禍のこともあり、今後も手厚い助成が見込まれます。

事業承継は、どの企業も避けて通れない重要な経営課題です。助成金を活用すれば、負担金額を大きく削減できます。要件を満たしているなら、活用を考えると良いでしょう。

事業承継支援助成金の公式サイト

令和3年(2021年)8月19日時点で公開されている公式サイトは以下です。

事業承継支援助成金

実施団体は、東京都と連携して中小企業支援を行う「公益財団法人 東京都中小企業振興公社」(以下、公社)です。

対象となる事業と経費

対象となる事業には、4つのタイプがあります。それぞれ見てみましょう。

(1)Aタイプ(後継者未定)

後継者が決まっていない場合は、Aタイプに該当します。

出典:募集要項

会社が運営する事業を第三者へ売却するには、まずは買い手探しが必要です。その際、力になってくれるのが、M&A仲介会社や人材紹介会社などです。

こうした外部機関に依頼して、買い手探しを進める場面でかかる費用が経費として認められます。

(2)Bタイプ(後継者決定)

後継者が決まっている場合は、Bタイプに該当します。

出典:募集要項

後継者が決まっていれば、次の課題は株式譲渡や相続手続きなどの実務です。また、新たな経営戦力にあわせて、有望な人材を獲得することも必要でしょう。

こうした一連の取り組みに際して、外部専門家のサポートを得る場面でかかる費用が経費として認められます。

(3)Cタイプ(企業継続支援)

公社による企業継続支援を受け、事業承継や経営、改善などの取り組みを行う場合は、Cタイプに該当します。

なお企業継続支援とは、公社が行う「事業承継・再生支援事業」の一環です。事業承継・再生支援事業では、個別相談や支援の他、

戦略的事業承継セミナー・後継者交流会

事業承継出張セミナー

事業承継塾・後継者イノベーションスクール

といったサポートを受けることができます。

出典:募集要項

人材確保のための費用に加え、社内経営管理システムの構築や、新市場開拓のための市場調査など、広い範囲が経費として認められるのが特長です。

(4)Dタイプ(譲受支援)

取引先の「事業または株式」を譲り受ける場合は、Dタイプに該当します。

出典:募集要項

事業や株式を譲り受ける場合、各種リスクの精査(デューデリジェンス)が必要です。さらに取引を実施するには、さまざまな契約書の作成も必要です。

そうした手続きを代行してくれる専門家を活用した場合、かかった費用が経費として認められます。必要に応じて活用を検討すると良いでしょう。

事業承継支援助成金の対象

主な要件として挙げられるのは、次の3つです。

(1)中小企業もしくは個人事業者である

対象となるのは、中小企業もしくは個人事業者です。

出典:募集要項

(2)2年以上、都内で事業を行っている

基準日時点で2年以上、都内で事業を行っていることも要件です。

出典:募集要項

(3)所定の支援事業を受けている

所定の支援事業を受けていることも要件の一つ。タイプごとに、やや要件が異なります。

▼AタイプとBタイプ

公社が行う「事業承継・再生支援事業」または「東京商工会議所・町田商工会議所・東京都商工会連合会」が行う「地域持続化支援事業(拠点事業)」による支援を受けた。

▼Cタイプ

公社が実施する企業継続支援を受けている。

▼Dタイプ

所定の期間内に、公社が行う「事業承継・再生支援事業」による現地診断(訪問による承継に関するヒアリング)を実施できる。

まとめ

申請に際しては、事業承継・再生支援事業などの支援を受けることが要件となります。今後申請を考えているなら、まずは準備として支援を受けることから始めてはいかがでしょうか。

なお助成金を受け取るには、申請の要件や対象経費などの細かいルールがあります。きちんと満たすように心がけることが大切です。気になることがあれば、ウェブサイトからお問い合わせください。