ますますDX化が進む時代、そんな中で注目されているのが、専門知識やスキルを学び直す「リスキリング」です。とはいえ、従業員の教育には費用がかかります。余裕がない中小企業も多いことでしょう。
そこでこの記事では、中小企業がリスキリングに活用できる、国や東京都の補助金・助成金情報をまとめました。ぜひ参考にしてください。
※令和5年(2023年)度に公募がある補助金や助成金を紹介しています。
リスキリングとは?
リスキリングとは、「技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、業務を行う上で必要な知識やスキルを学び直す」こと。注目されるきっかけとなったのが、令和2年(2020年)の世界経済フォーラム(ダボス会議)において、「リスキリング革命」が唱えられたことでした。
岸田総理も、リスキリングに関する支援制度を充実させることを発表。令和4年(2022年)秋の所信表明演説において、「今後5年間で1兆円投入」という方針を掲げています。
DX化によるビジネスの変化が激しく、求められるスキルも変わってくる時代。しかも「働き方改革」の影響もあって、企業はリスキリングを導入する必要性に迫られています。
国が力を入れている今だからこそ、補助金を有効活用して取り組むチャンスといえるでしょう。
(1)国の補助金・助成金
経済産業省や厚生労働省が公募を行っている、リスキリング関連の補助金や助成金を紹介します。
経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業費補助金」
【公募期間:令和5年3月31日~令和5年5月10日】
ポイント
・講座費用の1/2相当額を補助
・補助額は最大40万円(一人あたり)
・契約社員や派遣社員、パート・アルバイトも対象
この事業では、企業が在職者に対して、キャリア相談からリスキリング、転職までを一気通貫で支援する体制整備の促進を目的としています。さらに、リスキリングと企業間・産業間の労働移動の円滑化を一体的に図ることも目指しています。補助対象は、「在職者の転職を前提とした支援体制の構築」です。
「受講時間が15時間以上・受講期間が 12カ月を超えない」など一定の条件を満たした場合、講座費用の補助を受けられます。
補助は講座費用の1/2相当額で、最大40万円。正社員はもちろんのこと、契約社員や派遣社員、パート・アルバイトも対象です。
(公式サイト)経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業費補助金」
厚生労働省「人材開発支援助成金」(人への投資促進コース)
【公募期間:――】
ポイント
・1事業所あたり年間最大2500万円
・最大75%の経費助成率
・「訓練費用+賃金」の助成が受けられる
1事業所あたり、年間2500万円まで助成が受けられる助成制度です。訓練費用に加えて、賃金助成も受けることができます。
コースが7種類あり、情報通信業(※)を営む事業者は、助成の手厚い「高度デジタル人材訓練」を利用することが可能です。
各コースの詳細については厚生労働省「人材開発支援助成金 人への投資促進コースのご案内(詳細版)をご確認ください。
※日本標準産業分類のうち大分類Gに相当する事業者。
(公式サイト)厚生労働省「人材開発支援助成金」
厚生労働省「人材開発支援助成金」(事業展開等リスキリング支援コース)
【公募期間:――】
ポイント
・1事業所あたり年間最大1億円
・「訓練費用+賃金」の助成が受けられる
・カーボンニュートラル化も対象
1事業所あたり、年間1億円まで助成が受けられる大型助成制度です。
活用できるのは、新規事業立ち上げにあたり、人材を育成したいとき。加えて、企業内においてDX化やカーボンニュートラル化を進める人材を育てたい場合も、当制度を利用することができます。
(公式サイト)厚生労働省「人材開発支援助成金」
(2)東京都の補助金・助成金
東京都では、企業のリスクキングをサポートすることを目的として、次のような補助金や助成金を用意しています。
東京都「DXリスキリング助成金」
【公募期間:令和5年4月1日~令和6年2月29日】
ポイント
・助成額は最大64万円
・助成率は3分の2
・eラーニングのID登録料も助成対象
民間の教育機関などが提供する、DXに関する職業訓練受けた場合に助成が受けられます。形式は「集合訓練」と「eラーニングなど」どちらも対象です。
助成額は最大64万円。講習費用や教材費はもちろんのこと、eラーニング実施に伴うID 登録料や管理料なども助成の対象です。
(公式サイト)公共財団 東京しごと財団「令和5年度DXリスキリング助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)」
東京都「東京都 社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金」
【公募期間:令和5年4月1日~令和6年2月29日】
ポイント
・1事業所あたり最大100万円(※)
・自社研修と外部研修、どちらにも使える
・オンライン訓練にも使える
※「社内型」と「民間派遣型」の合計
「社内型スキルアップ助成金」の対象は、中小企業などが自ら企画して実施する訓練です。一方の「民間派遣型スキルアップ助成金」は、中小企業が従業員を教育機関などに派遣して実施する訓練が対象です。
なお、社内型と民間派遣型は組み合わせて申請することもでき、あわせて100万円まで助成を受けられます。
(公式サイト)公益財団法人東京しごと財団「令和5年度オンラインスキルアップ助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)」
東京都「東京都 オンラインスキルアップ助成金」
【公募期間:令和5年4月1日~令和6年2月29日】
ポイント
・助成額は最大27万円(または20万円)
・助成率は3分の2(または2分の1)
・オンライン会議システムを利用した訓練も対象
民間の教育機関などが提供するeラーニングの職業訓練を実施する際、助成を受けることができます。
上図の通り、中小企業と小規模事業者では助成内容が異なります。小規模事業者は最大27万円、それ以外の中小企業などは最大20万円の助成が受けられます。
(公式サイト)公益財団法人東京しごと財団「令和5年度オンラインスキルアップ助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)」
まとめ
このところ脚光を浴びている「リスキリング」。国や東京都から多くの支援施策が発表されています。従業員のトレーニングを検討する事業者様は、対象要件を確認した上で、申請を検討してはいかがでしょうか。
支援制度には、申請の要件や定量目標などの細かいルールがあります。きちんと満たすように心がけることが大切です。気になることがあれば、ウェブサイトからお問い合わせください。