M&Aは、中小企業にとっても身近な手法になってきました。とはいえ売り手・買い手双方にとって、M&Aは一大事。「本当に成功するだろうか」「費用が心配」と二の足を踏むケースも少なくないでしょう。
そんな事業者をサポートしてくれるのが、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」です。
大きなメリットは「事業承継・引継ぎ補助金」の「専門家活用型」において、最大600万円の補助金が受けられること。“国のお墨付き”機関なので、安心できる点も大きなポイントです。制度の概要や活用するメリットなどを紹介します。
M&A支援機関登録制度とは?
M&A支援機関登録制度とは、中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築するために、中小企業庁がつくった登録制度です。
その背景となるのが、中小企業M&A件数の増加です。
2020年はコロナ禍もあって前年より減少しましたが、ここ十年、増加傾向が見て取れます。このような状況は、今後も続くことでしょう。
というのも、中小企業にとってM&Aは、「後継者不在の問題を解消する」手法としても、「短期間で事業規模を拡大する」手法としても有効な選択肢であるためです。
ところが、M&Aを行う中小企業が増える中でM&A支援機関も乱立し、いわば玉石混交の状態に。知識や経験が乏しい業者もあり、「聞いていた話と違った」「法外な費用を請求された」といったトラブルも散見される状況となりました。
日本の中小企業には、世界的な競争力をもつ製造業や、革新的なサービス業も多数含まれています。日本経済を全体として成長させるためにも、安心して円滑にM&Aで承継できる環境づくりが欠かせません。
そこで令和3年(2021年)に始まったのが、「M&A支援機関登録制度」。最新データを見ると現在、約3000の機関が登録しています。
種類別に見ると、内訳は次の通り。
このように、M&A専門業者や士業専門家(税理士・公認会計士など)が大半を占めています。その他、一部の金融機関なども登録しています。
令和4年(2022年)10月12日時点で公開されている公式サイトは以下です。
活用するメリット
登録M&A支援機関を活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットを3つ紹介します。
(1)最大600万円の補助金が受けられる
M&Aには、仲介手数料や調査のためのデューデリジェンス費用、税金などの費用がかかります。売り手・買い手共に、「この費用負担を抑えたい」と思うのが通常です。
登録M&A支援機関を活用すると、「事業承継・引き継ぎ補助金」において、補助率2/3、最大600万円の補助金を受けることができます。
この段階での補助は非常にありがたい存在です。補助金を活用して、M&A実施後の統合マネジメントや既存事業のテコ入れにしっかり投資することも一つの選択肢と言えるでしょう。
なお補助金は、売り手と買い手、どちらも対象です。
事業承継・引き継ぎ補助金を検討している事業者は、「専門家活用型」で申請してください。申請が通り、登録M&A支援機関のサポートを受けると、専門家活用にかかる費用が経費として認められます。
補助対象となる経費は、仲介手数料やデューデリジェンス費用、企業概要書作成にかかる費用など、幅広いのが特徴。特に、多額となる仲介手数料の2/3が補助される効果は絶大です。
事業承継・引き継ぎ補助金は、令和4年(2022年)10月6日から申請が始まっています。詳しくは令和3年度 補正予算 事業承継・引き継ぎ補助金をご覧ください。
(関連)事業承継・引き継ぎ補助金とは?M&A専門家活用に最大600万円
(2)国のお墨付きだから安心
多くの中小企業にとって、M&Aは初めての経験です。支援機関からどのようなサービスを受けることができ、料金体系はどうなっていて、信頼できるのかなど、不安を挙げればキリがないでしょう。
そういう点で、国が認めた機関であることは大きなメリットです。
登録M&A支援機関は、「中小 M&A ガイドラインの遵守を宣言すること」など、中小企業庁が定める条件を満たしており、いわば国のお墨付きの機関です。
登録後も、違反があった場合は取り消しの対象となります。さらに合理的な理由なく支援実績が芳しくないなど、一定の要件に該当する場合は、登録の継続ができなくなります。
万が一トラブルが生じた場合のために、情報受付窓口も設置されており、安心してM&Aに取り組むことができます。
(3)合う支援機関を探しやすい
M&Aを成功させるには、自社の状況に合う支援機関を探すことが大切です。この制度では、どのような機関が登録しているかを、登録機関データベースで簡単に調べることができます。
データベースのページを開いたら、「どのエリアで」「どのような規模で」「いつから支援を始めた」支援機関を希望するのか、条件を選びます。選び終えて「この条件で検索」ボタンをクリックすると、候補となる支援機関が一覧表示されます。
どの支援機関も、表示される条件は共通なので、比較しやすいのがポイント。ホームページも記載されているので、詳細もすぐに確認できます。
まとめ
M&Aの円滑化・透明化のために設計された登録機関制度。経済的なメリットもあるので、利用する価値はあるでしょう。
気になることがあれば、お気軽にウェブサイトからご相談ください。