最大8000万の補助!「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」とは?【東京都】

最大8000万円の研究開発費用が交付される「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」。令和4年(2022年)6月30日より、令和4年度の申請予約が始まりました。

支援は最大3年間。中小企業の他、ベンチャーやスタートアップも申請でき、自社ならではの技術を生かした製品開発を考えている事業者におすすめです。

TOKYO戦略的イノベーション促進事業とは?

TOKYO戦略的イノベーション促進事業とは、東京都内で事業を営む中小企業などを対象とした助成金事業です。

ポイントとなるのは、東京都がつくった「イノベーションマップ」。

「スマートシティ」「セーフシティ」「ダイバーシティ」という3つのシティを実現するためには何が必要か?そんな課題を解決すべく策定されています。

東京産業労働局「TOKYO戦略的イノベーション促進事業 令和3年度 イノベーションマップ」

TOKYO戦略的イノベーション促進事業では、

(1)イノベーションマップに掲げられたテーマに基づき
(2)自社のコア技術を基盤として
(3)大手メーカーや大学、研究機関などと連携して

革新的な技術や製品を研究開発する場合、助成金や専門家派遣、アフターフォローなどの支援を受けることができます。

助成対象期間は最長3年間、助成率2/3、最大8000万円。しかも、原材料・副資材費、 産業財産権出願・導入費、直接人件費など、幅広い経費が補助される制度です。

なお、イノベーションマップに掲げられたテーマは次の通り。

(出典)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「事業案内チラシ」

ここに挙げられた

1:防災・減災・災害復旧
2:インフラメンテナンス
3:安全・安心の確保
4:スポーツ振興・障害者スポーツ
5:子育て・高齢者・障害者等の支援
6:医療・健康
7:環境・エネルギー・節電
8:国際的な観光・金融都市の実現
9:交通・物流・サプライチェーン

のいずれかのテーマに合致したコア技術を持っているなら、申請を検討してみる価値はあるでしょう。

TOKYO戦略的イノベーション促進事業公募スケジュール

令和4年(2022年)7月11日時点で公開されている公式サイトは以下です。

令和4年度 TOKYO戦略的イノベーション促進事業

事業の実施主体は、東京都の中小企業支援機関である「公益財団法人 東京都中小企業振興社」です。

▼申請予約

令和4年(2022年)6月30日~令和4年(2022年)8月8日

▼申請書類提出

令和4年(2022年)8月10日(水)~令和4年(2022年)8月30日

▼助成期間

令和5年(2023年)1月1日~ 令和7年(2025年)12月31日(最長3年)

主な支援内容

TOKYO戦略的イノベーション促進事業の支援内容は、大きく分けて次の3つです。

(1)最大8000万円の助成金

3年間で最大8000万円の助成金が受けられます。助成率は、対象経費の2/3以内です。

なお助成金の交付時期は、事業完了後が基本です。ただしTOKYO戦略的イノベーション促進事業では、開発段階を区分し、各区分の進捗に応じて助成金を分割で受け取ることも可能です。

分割での受取ができることは非常に有利で、大型の研究開発プロジェクトで申請が可能となります。ただし資金繰りについては、事前に入念に確認してください。

(2)専門家派遣によるアドバイス

製品開発や事業化支援などの経験を持つ連携コーディネータが、技術開発や知的財産権の取得、販路開拓などを伴走型で支援してくれます。

なお開発計画に関しては、技術・製品開発を巡る環境変化に対応するため、柔軟に変更できる仕組みとなっています。

(3)事業完了後のアフターフォロー(最大1年間)

事業化の進捗状況に応じ、マーケティングや販路開拓などに関して、継続支援が受けられます。

TOKYO戦略的イノベーション促進事業の対象

対象事業者

TOKYO戦略的イノベーション促進事業の対象となるのは、主に次の2つの要件を満たす中小企業者などです。

・都内の本店又は支店で実質的な事業活動を行っている中小企業者(会社及び個人事業者)など

・都内での創業を具体的に計画している個人

対象となる事業

先ほど挙げた9つのテーマに即した事業が対象です。

(出典)東京都庁「TOKYO戦略的イノベーション促進事業開発支援テーマ決定!申請予約受付開始!」

このように、非常に幅広い分野が対象となっています。助成金事務局や専門家に相談の上、応募の可能性を検討してください。

助成対象となる経費

対象となる経費は、次の通りです。

【対象経費】

原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、専門家指導費、直接人件費、規格等認証・登録費、産業財産権出願・導入費、展示会等参加費、広告費

通常の補助金では支援対象とならないことが多い「原材料・副資材費」「産業財産権出願・導入費」「直接人件費」など幅広い経費が補助されます。

これまでの採択事例

令和3年度は16件のプロジェクトが支援対象として選ばれました。

(例1)テーマ「防災・減災・災害復旧」

「簡単コンパクト大容量データ保全システムの開発」を研究開発テーマとした、「デジタル資産保全のための容量可変型データ保全システム」研究開発への支援が決まりました。

(例2)テーマ「インフラメンテナンス」

「目視確認支援システムの開発」を研究開発テーマとした、「建設工事におけるデジタルツインによる目視確認支援システム」研究開発への支援が決まりました。

(例3)テーマ「安全・安心」

「プラズマ光を活用した安全な携帯型光殺菌器の開発」を研究開発テーマとした、「建設工事におけるデジタルツインによる目視確認支援システム」研究開発への支援が決まりました。

(例4)テーマ「医療・健康」

「医療・健康に関するアプリケーションの開発」を研究開発テーマとした、「AI対話エンジンによる非対面会話を通して軽度認知症の早期発見や遠隔治療に繋がるシステム」研究開発への支援が決まりました。

(例5)テーマ「環境・エネルギ」

「脱炭素型貴金属吸着剤の開発」を研究開発テーマとした、「貴金属を吸着する硫酸性温泉紅藻の大量培養及びそれを利用した吸着剤」研究開発への支援が決まりました。

(出典)東京都「令和3年度TOKYO戦略的イノベーション促進事業支援プロジェクト決定のお知らせ」

TOKYO戦略的イノベーション促進事業の採択率

採択率は非公表ですが、令和3年(2021年)度は16件が採択されました。

TOKYO戦略的イノベーション促進事業は、情報が比較的拡散されておらず、「知る人ぞ知る」制度ですが、ここまで見てきたように、かなり有利な補助を得られるので「穴場」かも知れません。

イノベーションマップに掲げられたテーマと合致するコア技術を持っており、社外の知見やノウハウも活用しながら、革新的な技術・製品開発を行いたい事業者様は、積極的にチャレンジしてはいかがでしょうか。

審査通過のための申請のポイント

審査通過のためのポイントは公開されていません。ただし書類審査に加えて面接も行われることから、書類を丁寧に仕上げた上で、きちんと受け答えできるように準備しておくことが重要と言えるでしょう。

まとめ

TOKYO戦略的イノベーション促進事業は、かなり手厚い補助があり、それでいてあまり知られていなく“穴場”の制度です。積極的なチャレンジをおすすめします。 気になることがあれば、ウェブサイトからご相談ください。