中小企業の支援施策や補助金のサポート役「認定経営革新等支援機関」とは?

中小企業が抱える経営課題はさまざま。課題解決に必要な知識や技術も、複雑化・専門化する一方です。

「実は、我が社が気づいていない補助金やサポート施策があるのではないだろうか……」そんなときに活用したいのが「認定経営革新等支援機関」(認定支援機関)です。概要や活用するメリットを紹介します。

認定経営革新等支援機関とは?

認定経営革新等支援機関とは、“中小企業の支援機関”として、国から公的なお墨付きをもらった支援機関です。

主な支援機関として挙げられるのが、中小企業診断士や税理士、商工会・商工会議所、金融機関など。専門知識や実務経験が一定レベル以上であることを条件に、国が認定しています。

次のような課題を抱えているなら、認定経営革新等支援機関に相談してみると良いでしょう。

・経営を「見える化」したい

・事業計画を作りたい

・取引先を増やしたい

・販売を拡大したい

・専門的課題を解決したい

・金融機関と良好な関係を作りたい

こうした課題解決には、財務状況に関する綿密な調査・分析、事業計画の策定などが欠かせません。

これらは会社の定常的な業務ではなく、スポット的に発生する大仕事です。しかるべき審査を経た専門家に任せることにより、時間も費用も短縮できますし、良い結果となる可能性が高いと思われます。

令和4年(2022年)8月2日時点で公開されている公式サイトは以下です。

認定経営革新等支援機関

認定支援機関を活用するメリット

認定経営革新等支援機関に相談すると、課題解決につながる支援を受けることができます。さらに次のようなメリットもあります。

メリット(1)信用保証協会の保証料が減額される

事業計画の実行と進捗の報告を行うことを条件に、信用保証協会の保証料が減額(マイナス0.2%)されます。

(出典)中小企業庁「ミサラポplus」

メリット(2)「経営改善計画」の策定で費用補助が受けられる

「経営状況が悪化しているので良くしたい」「資金繰りの改善のために返済条件を見直したい」といった場合は、経営改善計画の作成が有効です。

経営改善計画策定支援の支援を受けて、「経営改善計画」を策定する場合、専門家への支払い費用の3分の2 (上限200万円)の補助が受けられます。

公費負担により手厚いサポートを受けることができるので、非常に有利な制度です。

(関連)リスケ等金融支援を受ける!「経営改善計画策定支援事業」(405事業)とは?

メリット(3)海外展開のための資金調達がしやすくなる

人口減少が予測され、国内需要も徐々に縮小していく中、中小企業にとっても海外進出は重要な選択肢です。とはいえ中小企業にとって、海外進出のための資金確保は荷が重いのも事実でしょう。

認定支援機関の支援を受けた事業計画に基づいて事業を行う場合、海外展開のための資金調達がしやすくなります。

例えば、以下のような支援が受けられます。

(1)現地子会社の資金調達支援(L/C発行、保険付保)

日本政策金融公庫や日本貿易保険を利用し、現地通貨建ての資金調達が可能になります。

(2)海外展開のための国内における資金調達支援

海外展開を図る際に、中小企業信用保険(いわゆる「保証協会」)の限度額を増額し、日本企業が外国法人を設立した場合の出資・貸付に必要な資金調達を支援します。

メリット(4)補助金申請に関する支援を受けられる

認定支援機関の中には、当社も含め、補助金申請に関する経験が豊富な事業者があります。これらの認定支援機関は、補助金に関する情報や申請支援を提供していますので、ぜひ相談してみてください。

なお事業再構築補助金の申請においては、「認定支援機関確認書」の提出が必須となっています。

認定支援機関の活用事例

これまでの具体的な事例を見てみましょう。

(1)新事業展開に成功し、売上は過去最高を記録

(金属製品製造業・金融機関による支援)

支援機関から、販売先の紹介や認証取得、新事業立ち上げなどの支援を受け、新製品の製造から販売までの流れを具体化。新製品の製造・販売は成功し、売上高は過去最高となった。

徐々に、他社製品のメンテナンスや修理などのサービスも受注し始めているので、今後は顧客の拡大を図っていく予定。

(出典)中小企業庁「認定経営革新等支援機関チラシ」

(2)新たな設備の導入に成功し、生産性が1.5倍に増加

(非鉄金属製造業・税理士法人による支援)

新たな設備の導入を検討していた同社に対し、支援機関が、設備導入による影響を財務的に分析して、複数の導入案を提案した。

導入後は生産コストが短縮され、生産性が1.5倍に増加。さらに、競合他社に優位性のある短納期化も実現した。その結果、受注は増加し、売上・利益も改善傾向にある。

(出典)中小企業庁「認定経営革新等支援機関チラシ」

(3)新事業の立ち上げにより、従業員の意欲も向上 

(金属製品製造業・商工会議所による支援)

支援機関からのアドバイスを受け、新事業でのターゲットや資金面に関する計画を明確化。その結果、補助金の採択にもつながり、今事業拡大に加速につながった。

さらには、従業員の様子にも変化が見られた。前向きな事業を展開することで、労働意欲向上にもつながっている。

(出典)中小企業庁「認定経営革新等支援機関チラシ」

認定支援機関による支援の流れ

一連の流れを紹介します。

(1)経営課題の抽出

(引用)中小企業庁「認定経営革新等支援機関チラシ」

まずはどのような経営課題があるかを明らかにします。

例えば販路開拓や資金調達などの問題を抱えていませんか?課題の解決には、計画を文書化した上での交渉や、公的支援施策の活用が有効かも知れません。

(2)支援機関の選定

(引用)中小企業庁「認定経営革新等支援機関チラシ」

続いて、支援を依頼するための機関を探します。中小企業庁の認定経営革新等支援機関検索システムを使うと、都道府県別に支援機関を探すことができます。

例えば、日本地図上で「東京都」を検索すると、次のような画面が現れます。

(引用)認定経営革新等支援機関検索システム

あとは、検索条件を選ぶだけ。「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「事業継承補助金」など、補助金の支援実績がある機関を絞り込み検索することも可能です。

人気の高い補助金も多く、支援実績の有無は大きなポイント。活用を検討している補助金があれば、実績のある支援機関を選ぶことが重要です。

(3)認定経営革新等支援機関に相談

(引用)中小企業庁「認定経営革新等支援機関チラシ」

実際に、支援機関に相談します。その際は、経営状況が分かる決算書と、作成済みの場合には事業計画書を用意しておくと、話がスムーズです。

(4)(5)事業計画の実現・モニタリングやフォローアップ

(引用)中小企業庁「認定経営革新等支援機関チラシ」

支援内容が決まったら、計画を実行します。その後も、モニタリングやフォローアップなどがセットになっているので、状況を確認しながら、すみやかに必要な手を打つことができます。

まとめ

認定経営革新等支援機関は、中小企業診断士や税理士、商工会・商工会議所、金融機関など多岐にわたります。それぞれ専門や実績も異なるため、当然ながら得意分野が異なります。

当社は認定経営革新等支援機関の「土井経営事務所」と連携してご支援を提供しています。ものづくり補助金や事業再構築補助金などへの応募に関して、疑問点や相談がある方は、まずはお気軽にウェブサイトからご相談ください。