事業承継・引継ぎ支援センターとは?使える補助金もあわせて紹介

会社の後継者がいない、第三者への譲渡を考えているが何から始めていいのか分からない、業績不振で売却も視野に入れている……。そんな事業者が活用したいのが「事業承継・引継ぎ支援センター」です。

事業承継・引継ぎ支援センターは、国が設置する公的相談窓口です。親族内や第三者を問わず、事業承継について無料で相談可能です。

事業承継・引継ぎ支援センターとは?

事業承継・引継ぎ支援センターとは、事業承継・引継ぎのワンストップ支援を行う機関です。東京や大阪をはじめ、全国47都道府県に開設されています。

中小企業庁「各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センター連絡先一覧」

例えば、こんな悩みを相談できます。

・自社を他の企業に譲渡したいが、可能性はあるか知りたい。

・他の企業を買収したいが、どのように取り組めばよいか知りたい。

・仮に今、M&Aに取り組んだら、どうなるか知りたい。

・M&A仲介会社をどのように選んだらよいか迷っている。

・当事者同士で会社(事業)の売買についての合意をしたが不安。

・将来に備えて事業承継に関する理解を深めておきたい。

中小企業にとって、後継者不足は深刻な問題です。実際に「自分の代で廃業を検討する理由は?」という問いに対して、およそ4分の1が「後継者不足」を理由に挙げています。

(引用)東京都 事業承継・引継ぎ支援センター

近年コロナ禍により、中小企業の休廃業が激増。令和2年(2020年)、休廃業などの件数は過去最多のおよそ5万件に及びました。

廃業に至る前に事業を引き継いでくれる相手を探しておけば、破産を回避することができます。また、「手元に現金を残せる」「従業員の雇用を継続できる」といったメリットもあります。

事業承継・引継ぎ支援センターでは、実績豊富な専門家に無料で相談できます。国が運営しており、もちろん秘密厳守。検討の第一歩として、早めにコンタクトしてみることをおすすめします。

(引用)東京都 事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターの公式サイト

令和4年(2022年)2月22日時点で公開されている公式サイトは以下です。

事業承継・引継ぎ支援センター

また次のページでは、これまでの事例を見ることができます。

「事業承継・引継ぎ」 支援事例紹介

主な支援内容

事業承継・引継ぎ支援センターの主な支援内容は次の通りです。

・第三者承継

・親族内承継

・創業希望者とのマッチング

それぞれ見てみましょう。

(1)第三者承継支援

近年では少子化の影響もあり、「会社を継ぐ息子や娘がいない」「子どもはいるが、誰も継ぐ気がない」といったケースも増えています。

せっかく大事に育ててきた会社。そのまま後継者が決まらなければ、廃業という事態に陥ってしまいます。

そこで事業承継・引継ぎ支援センターでは、「第三者」による承継を支援。中小企業診断士や金融機関OBなどの専門家が、アドバイスやサポート、マッチングなどを行います。

利用している事業者で多いのが「製造業」や「卸・小売業」です。規模で見れば「1~5名」が圧倒的に多く、およそ半数。「10名まで」の事業者が、約7割を占めている状況です。

(引用)事業承継・引継ぎ支援センター「第三者承継」

従業員数が少ない企業が多いのは、小規模な事業者ほど相談先が少ないことも一因ではないでしょうか。相談料無料の事業承継・引継ぎ支援センターは、最初の相談先としてピッタリだと思います。

(2)親族内承継支援

減少傾向にあるとはいえ、やはり主流は「親族内承継」です。息子や娘などが会社を継ぐことが決まれば、次に目指したいのが“スムーズな引き継ぎ”と“さらなる成長”でしょう。

事業承継・引継ぎ支援センターでは、承継コーディネーターやサブマネージャーが、悩みをヒアリングしながら、課題を整理。課題解決に向けた取り組みについてアドバイスします。

さらには、税理士や中小企業診断士など、外部専門家とも連携。「事業承継計画」策定の支援を無料で行います。

(3)創業希望者とのマッチング

事業承継・引継ぎ支援センターでは、創業を目指す起業家と、後継者不在の事業者をつなぐ支援も行っています。

(引用)事業承継・引継ぎ支援センター「後継者人材バンク」

創業希望者とのマッチングは、最近一部で話題になっている方式です。創業希望者の経歴や技術などを吟味して検討すると良いでしょう。

事業承継には、こんな補助金も!

事業承継を行う際、条件を満たせば補助金や助成金も活用できます。

(1)事業承継・引継ぎ補助金

事業承継後の経営革新やM&A時の専門家の活用、事業を引き継いで廃業するときにかかる費用の一部が対象です。

現在公募はありませんが、政府の令和4年(2022年)度予算案に、16.3億円が盛り込まれました。年間約550社の中小企業を支援することを目標に掲げており、公募開始に要注目です。

(関連)事業承継・引き継ぎ補助金とは?M&A専門家活用に最大600万円

(2)事業承継支援助成金【東京都】

対象となるのは、2年以上、東京都内で事業を行っている事業者。要件を満たせば、最大200万円、助成率2/3の助成金が受けられます。

親族内の承継はもちろん、M&Aによる承継も対象。外部専門家などに委託して行う取り組みに対し、その経費のサポートが受けられます。

現在公募はありませんが、令和4年(2022年)度も実施されることが決まっています。該当する事業者は、早めに準備しておくと良いでしょう。

(関連)M&Aも対象、専門家費用をサポート!事業承継支援助成金とは?【東京都】

まとめ

事業承継は、ほとんどの経営者にとって未経験の領域です。そのため第三者への相談が肝心。事業承継・引継ぎセンターは無料なので、まずは気楽に相談してみましょう。追い込まれて廃業や破産する前に、打開策を見いだせる可能性が高まります。

補助金を受け取るには、申請の要件や対象経費などの細かいルールがあります。きちんと満たすように心がけることが大切です。気になることがあれば、ウェブサイトからお問い合わせください。