事務所や工場、倉庫の新築や改修には、多額の費用がかかります。数は限られるものの、新築や改修時に使える補助金や助成金があることをご存じでしょうか?
ポイントとなるキーワードは「事業再構築・省エネ・木材利用」など。活用できる補助金・助成金情報をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
※令和3年(2021年)度に公募があった補助金を紹介しています。
※令和3年(2021年)10月21日現在で、令和3年度の公募期間が終わっているものは「公募期間終了」と記載しています。
事業再構築補助金
【公募期間:令和3年(2021年)12月21日まで(第4回)】
「コロナ禍というピンチを、思い切った事業再構築でチャンスに変えたい!」そんな事業者から注目を集めている「事業再構築補助金」。事業を再構築するにあたり、事務所や工場、倉庫、販売施設などを建設・改修する費用も、経費として認められます。
ポイント
・補助額は最大1億円
・事業再構築とは「新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換・事業再編」に取り組むこと
・建設や改修に加え、撤去も補助の対象
事業再構築補助金では、建設や改修に加えて、撤去費用も対象です。例えば「実店舗を閉鎖してオンライン販売を強化する」といった場合、撤去にかかる費用が経費として認められます。
事業再構築補助金は、今後も公募が行われます。詳しくは別記事「事業再構築補助金とは?コロナで売上減少、最大1億円!」で紹介しています。あわせてご確認ください。
既存建築物省エネ化推進事業
【公募期間終了】
今や国策ともいえる省エネ。ところが補助金で知名度が高いのは、設備投資を対象としたもの。そんな中、既存建築物省エネ化推進事業では、建築物の省エネルギー改修に対して支援が受けられます。
ポイント
・補助額は最大5000万円
・支援対象は、既存のオフィスビルなどの建築物の改修
・20%以上の省エネ効果が見込まれる改修が条件
※工場や実験施設、倉庫など生産用設備をもつ建築物は対象外。
同時にバリアフリー改修を行う場合は、2,500万円または省エネ改修にかかる補助額を限度に加算されます。店舗のように、バリアフリーの必要がある物件には追加工事を検討しても良いでしょう。
サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)
【公募期間:令和3年(2021年)10月29日まで】
技術の進化により、中高層ビル建築に木材を使う事例が増えてきました。木造オフィスビルの建築を検討しているなら、ぜひチェックしておきたいのが「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」です。
ポイント
・助成額は最大5億円
・構造や防火面で優れた設計であることが必要
・評価委員会による評価をもとに、国土交通省が採択事業を決定
〈採択事業の例〉
最大5億円という、大型の助成金です。複数の街区や敷地、棟にまたがるプロジェクトにおいては、必要と認められると最大10億円となります。
なお令和2年度は、応募12件で採択7件、多数が大企業の案件でした。ただし上記「有限会社もるくす建築社」のように、3千万円の補助で採択された案件もあるため、大企業以外でも可能性はあると考えられます。
CLTを活用した先駆的な建築物の建設等支援事業
【公募期間終了】
CLTとは“Cross Laminated Timber”の略称で、 木材を縦と横に重ねた分厚いパネルのこと。強度が高いため高層建築にも活用でき、ヨーロッパ各国でも急速に利用が進んでいます。CLTを活用した建築物をつくる場合、支援が受けられます。
ポイント
・助成額の上限は経費の 3/10または1/2
・協議会の運営費として定額を助成(最大85万円ほど)
・コストや耐震、優れた施工性なども採択の条件
高層建築といえば、鉄筋コンクリート造が一般的でした。ところが木造でも耐震性や耐久性、耐火性などを確保できるようになり、注目が集まっています。
公式サイト「CLTを活用した先駆的な建築物の建設等支援事業の募集について」
木材利用に関する補助金・助成金【東京都】
木材利用に関して東京都では、公益財団法人 東京農林水産振興財団が窓口となり、補助金や助成金を用意しています。
「中・大規模建築物の木造木質化設計支援事業」「木の街並み創出事業」「にぎわい施設で目立つ多摩産材推進事業」について紹介します。
▼中・大規模建築物の木造木質化設計支援事業
【公募期間:令和3年(2021年)10月29日まで】
主要構造部に国産木材を一定以上使用して、都内に中・大規模の民間施設をつくる場合、補助を受けられる可能性があります。
ポイント
・補助額は最大5000万円
・多摩産材を3割以上使うことが条件
・「にぎわい施設で目立つ多摩産材推進事業」「木の街並み創出事業」とも併用可能
▼木の街並み創出事業
【公募期間:令和3年(2021年)10月29日まで】
都民の目に触れ、接することができる民間施設を都内につくる場合、補助を受けられる可能性があります。
ポイント
・補助額は最大3000万円
・多摩産材を3割以上使うことが条件
・「中・大規模建築物の木造木質化設計支援事業」「にぎわい施設で目立つ多摩産材推進事業」とも併用可能
▼にぎわい施設で目立つ多摩産材推進事業
【公募期間:令和3年(2021年)10月29日まで】
商業施設をはじめ、人が多く集まり、誰でも利用できる施設を都内につくる場合、補助を受けられる可能性があります。
ポイント
・補助額は最大5000万円
・多摩産材を目立つ形で使うことが条件
・「中・大規模建築物の木造木質化設計支援事業」「木の街並み創出事業」とも併用可能
食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業
【公募期間:令和3年(2021年)10月下旬まで】
※都道府県により異なる
食品の海外輸出を考えているなら“HACCP(ハサップ)”対応は必須です。「輸出品をつくるために、施設や倉庫を新設(または改修)したい」という事業者がチェックしておきたいのが「食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業」です。
・補助額は最大5億円
・対象は「食品製造事業者・食品流通事業者・中間加工事業者」など
・例:施設の衛生管理の強化に向けた排水溝や床、壁などの改修
申請する際は、各都道府県の窓口に必要書類を提出します。締切が窓口によって異なるため、注意が必要です。
公式サイト「食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業」
まとめ
補助金や助成金は、毎年予算の審議が行われるため、必ず翌年も公募があるとは限りません。また、予算額に達した時点で受付が終了する場合もあります。申請可能な補助金がある場合は、早めに準備・申請することをおすすめします。
補助金や助成金を受け取るには、申請の要件や対象経費などの細かいルールがあります。きちんと満たすように心がけることが大切です。気になることがあれば、ウェブサイトからお問い合わせください。