新製品・新技術を開発するには、莫大なコストがかかります。アイデアや技術はあるが、手元の資金が心もとない……。そんな事業者の背中を押してくれるのが、「新製品・新技術開発助成事業」です。
最大1500万円、助成率は1/2以内。創業間もない事業者や、創業予定者も対象です。
新製品・新技術開発助成事業の概要や助成率などを紹介します。
新製品・新技術開発助成事業とは?
「新製品・新技術開発助成事業」は、東京都内で事業を営む中小企業や小規模事業者が対象の助成金事業です。
新製品や新技術を開発してリリースするためには、多額の費用がかかります。試作するには原材料や機械装置が必要ですし、人件費もかかります。実用化に向けて、専門家の指導が必要なこともあるでしょう。
「高い技術を製品開発に生かすため、より高性能な製造設備を取得したい」
「高い技術を生かしたサービスを始めるため、独自の高性能なソフトウェアを開発したい」
そんな課題を解決するべく実施されているのが、「新製品・新技術開発助成事業」です。
創業3年未満だと、優遇措置があります。若手企業にとって挑戦してみる価値のある助成金と言えるでしょう。
新製品・新技術開発助成事業の公式サイト
令和3年(2021年)7月8日時点で公開されている公式サイトは以下です。
実施団体は、東京都と連携して中小企業支援を行う「公益財団法人 東京都中小企業振興社」です。
新製品・新技術開発助成事業は、平成27年(2015年)から毎年申請を受け付けており、これまでに7回の募集が行われました。
申請時期は年によってやや異なりますが、おおむね3~5月。これまで年に一度のペースです。
現在新たな募集はありませんが、公募に際しては東京都中小企業振興社のホームページにて発表される見込みです。新たな動きがありましたら、当サイトでもお知らせいたします。
対象となる事業
新製品・新技術開発助成事業の対象となる事業は、大きく分けて3種類あります。
(1)新製品・新技術の研究開発
まず一つ目が、「新製品・新技術の研究開発」です。
ただし新製品といっても、ただ単に新しければいいわけではありません。「新しい機能が付加されている」「新技術が使われている」という点がポイントです。
例)次世代照明機器の開発、高性能計測器の開発、高性能塗料の開発など
(2)新たなソフトウェアの研究開発
二つ目が、「新たなソフトウェアの研究開発」です。
例)沿革ロボット操作システムの開発、無人店舗運営システムの開発、ブロックチェーン型配車アプリの開発など
次の円グラフを見ると、申請者のうち情報サービス業が過半数を占めていることが分かります。また創業年数では、創業5年未満の企業が約40%です。
ソフトウェア開発には、多額のコストがかかります。創業間もない企業であれば、資金に余裕がないこともあるでしょう。都に事業の有望さを説明できれば、支援を受けて、より大規模なサービス開発ができます。
(3)新たなサービス創出のための研究開発
そして3つ目が、「新たなサービス創出のための研究開発」です。
新たなサービスといっても、当然ながら、ただ新しいだけでは不十分。そのサービスを提供することで「生産性が向上する」「高付加価値化する」という点がポイントです。
公益財団法人 東京都中小企業振興公社のホームページでは、これまでの事例が紹介されています。一例として、
・次世代広色域カメラ
・誰でも簡単に使える眼圧計
・深層学習を用いた強度解析ソフトウェア
・AI搭載可視型WEBブラウザー
・スマホ連動のフルオーダー靴の自動販売機
・web to print での名刺システム
・音声による文章作成支援システム
・運搬ロボットの自動走行技術
などが挙げられます。今後申請を検討しているなら、ぜひ参考にしてください。
(出典)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「採択企業一覧」
新製品・新技術開発助成事業の対象
新製品・新技術開発助成事業の対象となるのは、主に次の2つの要件を満たす中小企業者などです。
(1)都内で実質的に事業を行っている
対象となるには、基準日の時点で次の条件を満たしていることが必要です。
▼法人
・東京都内に登記簿上の本店または支店がある。
・東京都内で、実質的に1年以上事業を行っている。
または
東京都内で創業し、引き続く事業期間が1年に満たない。
▼個人事業者
・東京都内に開業届出がある。
・東京都内で、実質的に1年以上事業を行っている。
または
東京都内で創業し、引き続く事業期間が1年に満たない。
▼創業予定者
・東京都内での創業を、具体的に計画している。
・交付決定後速やかに登記簿謄本または開業届を提出できる。
(3)中小企業者・中小企業団体である
中小企業者や中小企業団体であることも条件です。
◆中小企業者
中小企業者とは、次の表に該当する事業者のこと。個人事業者も含まれます。
なお、情報通信業のうち、以下の業種分類は、サービス業に該当します。
◆中小企業団体
中小企業団体とは、事業協同組合や協業組合などを指します。
助成対象となる経費
対象となる経費は、次の通りです。
【対象経費】
原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、直接人件費
開発にあたっては、さまざまな工程で費用が発生します。特に大きいのは、やはり人件費でしょう。
直接人件費が最大500万円まで経費として認められるのは、大きなポイントです。
また、試験や分析鑑定などを委託・外注したり、大学や専門機関と共同研究を行ったりする経費も、委託外注費として認められます。
なおこの事業では、原材料および副資材が助成対象です。国のものづくり補助金などでは補助対象外ですので、この点も注目に値します。
審査通過のための申請のポイント
審査は一次審査(書類)に加えて、二次審査(面接)もあります。審査において重視されるのは、主に次のポイントです。
・新規性・・・・・・・従来にない新しい開発など。
・優秀性・・・・・・・創造的、技術的、利便的に優れているなど。
・市場性・・・・・・・市場動向や販売見込みなど。
・実現性・・・・・・・開発における能力など。
・妥当性・・・・・・・事業計画と資金計画の整合性など。
特に重要なのが、優位性や計画値を、定量的な根拠に基づいて記載することです。
将来性をアピールする際、事業への思い入れが先行して、競合との比較の視点が漏れてしまうことがあります。審査員に十分にアピールするためにも、可能な限り定量的な根拠を提示するのが効果的です。
まとめ
新製品や新技術の開発には、コストがかかります。特に創業間もない会社にとって、最大1500万円の助成金は、大きな後押しとなることでしょう。
なお当社では、面接対策を含めた支援も提供しています。関心のある方は、ぜひお問い合わせください。