事業再構築補助金・第2次公募開始!コロナで売上減少、最大1億円!

コロナ禍で売上が減り、「新事業・新分野に賭けるべく投資したい」と考える中小企業などが利用可能な「事業再構築補助金」の第2次公募が5月20日(木)から始まりました。

申請受付は5月26日(水)から7月2日(金)まで、一次公募で不採択だった事業者は、採択公表日(6月中旬頃)以降に申請可能となります。

補助額は1企業あたり最大1億円、予算規模は全5回の公募で1兆1,485億円という超大型補助金です。コロナ禍からの復活を目指し、新たな取組を行う企業には、絶好のチャンスです。補助率が高い緊急事態宣言特別枠も設定されています。

事業再構築補助金については3月の記事でご紹介し、第1次公募は、5月7日に締切られました。この記事では、補助金制度の概要を再掲し、第2次公募の特徴について紹介します。

事業再構築補助金とは?

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」等と表記します)の影響で、飲食店やエンターテインメント関連を中心に、多くの中小企業などの業績が悪化しています。

事業再構築補助金とは、事業再構築に意欲を燃やす中小企業などを支援する補助金です。

補助額は最大1億円。新分野展開や業態転換、事業・業種転換など、思い切った事業再構築を考える中小企業などが対象です。

アフターコロナに向け、中小企業の事業再構築を支援し、日本経済を立て直すことが事業再構築補助金の狙いです。

補助金の公募は、令和3年度(2021年度)に全5回実施される予定です。

事業再構築補助金の公式サイトはこちらです。

事業再構築補助金の対象

事業再構築補助金の対象となるのは、次の通りです。

  • (新型コロナの影響で)直近の売上が減っている
  • 事業再構築に取り組む
  • 事業計画を策定する

それぞれについて、詳しく見てみましょう。

(1)直近の売上が減っている

新型コロナの影響で、売上が減っていることが第一の要件です。第2次公募においては、コロナ前とコロナ後は、次の2つの期間を指します。

(a)コロナ前 ⇒ 令和元年(2019年)または令和2年(2020年)1月~3月

(b)コロナ後 ⇒ 令和2年(2020年)10月以降の連続する6か月間

比較するのは、次の2つ。

・(a)のうち任意の3か月間の合計売上高 ・・・・・・(あ)

・(b)のうち任意の3か月間の合計売上高 ・・・・・・(い)

(あ)と(い)を比べて、10%以上減っていることが条件です。ちなみに「任意の3か月間」とは、連続している必要はありません。

(2)事業再構築に取り組む

売上が減っただけでは、事業再構築補助金の対象とはなりません。「事業再構築指針」に定める「新分野展開」や「業態転換」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」のいずれかを行うことも申請の要件です。

中小事業庁のリーフレットには、次のような例が掲載されています。

◆飲食業

飲食業で例示されるのが、「居酒屋の売上が減少した」場合です。

店舗での営業をやめ、オンラインで弁当の宅配事業を開始するなら、経費が補助の対象となる可能性があります。

◆小売業

小売業で例示されるのが、「紳士服販売業を営んでいたものの、売上が減少した」場合です。

店舗での営業を縮小し、ネット販売事業やレンタル事業へと業態を転換するなら、経費が補助の対象となる可能性があります。

◆サービス業

サービス業で例示されるのが、「高齢者向けデイサービス事業を行っていたものの、利用が減少した」場合です。

事業を他社に譲渡して別の企業を買収し、病院向け給食や事務などの受託サービス授業を始めるなら、経費が補助の対象となる可能性があります。

◆製造業

製造業で例示されるのが、「航空機部品を製造していたものの、需要が減少した」場合です。

関連設備を廃棄し、医療機器部品を製造する事業を新しく立ち上げるなら、経費が補助の対象となる可能性があります。

(3)事業計画を策定する

事業再構築補助金を受けるには、事業計画を策定することも条件です。事業計画に含める主な内容は次の通りです。

・現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性

・事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)

・事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法

・実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)

定量的な目標値として、「付加価値額」または「従業員一人あたり付加価値額」を年率3%ないし5%増加する見込みの事業計画を策定する必要があります。

※補助金額が3,000万円を超える案件は、金融機関(銀行・信金・ファンドなど)も参加して策定する必要があります。

事業再構築補助金の補助額・補助率

補助額や補助率などを確認しましょう。

(1)中小企業

中小企業を対象にした事業再構築補助金には、「通常枠」と「卒業枠」があり、多くの中小企業は「通常枠」に該当します。

目を引くのが、卒業枠の「最大1億円」という数字です。卒業枠とは、「中小企業から中堅企業へと成長する事業者」向けの特別枠です。

なお中小企業と中堅企業は、中小企業基本法によって、次のように定義されます。

(引用)事業再構築補助金の概要

中堅企業を目指す企業は「卒業枠」も検討しても良いでしょう。

(2)中堅企業

中堅企業を対象にした事業再構築補助金には、「通常枠」と「グローバルV字回復枠」があります。

目を引くのが、グローバルV字回復枠の「最大1億円」という数字です。グローバルV字回復枠とは、次の要件すべてを満たす中堅企業向けの特別枠です。

・直前6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業。

・補助事業終了後3~5年で、「付加価値額」または「従業員一人当たり付加価値額」の年率5.0%以上増加を達成すること。

・グローバル展開を果たす事業であること。

海外での展開を考えている企業は「グローバルV字回復枠」を検討しても良いでしょう。

(3)緊急事態宣言特別枠

事業再構築補助金には、緊急事態宣言特別枠が設けられています。

緊急事態宣言特別枠とはその名の通り、緊急事態宣言によって打撃を受けた中小企業などを対象にした特別枠です。

緊急事態宣言による時短営業や不要不急の外出・移動の自粛などによって売上が下がった飲食店などの小規模事業者は、この特別枠を検討してみると良いでしょう。

要件の目安は「売上30%以上減」です。より具体的には、「令和3年(2021年)1~5月のいずれかの月の売上高が、対前年または全前年の同月比で30%以上減少している」場合、対象となります。

補助額は次の通り。

緊急事態宣言特別枠は、通常枠よりも補助率が高いことが特徴で、非常に有利な枠です。さらに、緊急事態宣言特別枠で申請して不採択の場合でも、通常枠で再審査を受けることが可能です。大きなチャンスですので、応募を検討してみてはいかがでしょうか。

補助対象となる経費は?

コロナ禍で打撃を受けた企業にとって、起爆剤となりうる事業再構築補助金。多くの企業が悩むのが「どの経費が補助対象なのか?」という点です。

事業再構築補助金は、基本的に設備投資を支援するものです。設備費のほか、建物の建設費や建物改修費、撤去費、システム購入費も補助対象です。

さらに、新しい事業を開始するにあたって必要となる研修費や広告宣伝費・販売促進費も補助対象です

■補助対象の例

【主要経費】

●建物費(建物の建築・改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費、リース費

【関連経費】

●外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)

●研修費(教育訓練費等)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)

●クラウドサービス費、専門家経費

■補助対象外の経費の例

●補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費

●不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費

●販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

どの費用項目に該当するのか、線引きが難しい経費も多々あります。対象経費を正しく算定して申請することは、大切なポイント。採択額を上げることにつながります。

審査通過のための申請のポイント

事業再構築補助金の審査は、事業計画をもとに行われます。採択されるためには、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です。

具体的な審査項目は、公募要領に掲載されており、
・事業化に向けた計画の妥当性
・再構築の必要性
・地域経済への貢献
・イノベーションの促進
などです。審査を通過するためには、これらの項目を意識した事業計画づくりが肝心です。

まとめ

事業再構築補助金は適用条件等が複雑であったことや、応募期間が短かったことから、第1次公募では申請を見送った事業者も多かったと思われます。今回の第2次公募からは、各社の申請が本格化すると思われます。

コンサルタント等の支援者も第1次公募を経て制度概要に関する知見が高まっています。必要に応じて、審査基準を熟知したコンサルタントを活用して事業計画の活用も検討してみてはいかがでしょうか。