【2022年最新】「ものづくり補助金」の補助額・対象など変更点まとめ

設備投資に使える補助金として、中小企業から人気の「ものづくり補助金」。令和4年(2022年)度も4回の公募が予定されています。

5月26日からは11次の申請受付もスタート。10次からは「上限額アップ・対象の追加・新枠登場」などにより、ますます注目を集めています。10次以降に適用された、ものづくり補助金の変更点を紹介します。

※正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」ですが、便宜上、通称である「ものづくり補助金」を使用します。

ものづくり補助金とは?

設備投資をしたいが、資金のことが気がかりで踏み切れない……。そんな中小企業や小規模事業者の背中を押してくれるのが、「ものづくり補助金」です。

ものづくり補助金の目的は、設備投資などによって、事業改革にチャレンジする事業者を強力にサポートすることにあります。

そこで、経費の1/2もしくは2/3を、最大1250万円まで補助。グリーン枠は最大2000万円グローバル展開型は最大3000万円と、さらに上限額がアップします。

なお“ものづくり”といっても、対象は形あるものだけではありません。サービスやアプリをはじめとしたシステム開発にも適用されます。

しかも創業間もない事業者への加点措置もあります。IT業界のスタートアップやベンチャー企業にとっても、大きなチャンスと言えるでしょう。

ものづくり補助金の公式サイト

令和4年(2022年)5月24日時点で公開されている公式サイトは以下です。

(参考)ものづくり補助事業公式ホームページ

ものづくり補助金が大きく変わった!

冒頭でもお伝えしたとおり、ものづくり補助金は10次から、内容が大幅に見直されました。主な変更点を3つ紹介します。

変更点(1)従業員「21人以上」だと通常枠の補助上限が最大1250万円にアップ

9次までは、通常枠の補助上限額は一律1,000万円でした。ところが10次からは、従業員が21人以上いる場合、最大1250万円に変更されました。

出典:公募要領 概要版

5人以下の場合は最大750万円となり上限が下がる形になりますが、より事業や資金需要の規模感に合わせた金額になったと考えられます。

変更点(2)資本金10億円未満の「特定事業者」も対象に!

特定事業者とは、中小企業から中堅企業へと成長している企業のことです。10次からは、次の条件に該当する特定事業者も、ものづくり補助金の対象となりました。

出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要

中堅企業も支援の対象となりました。これは「従業員数の拡大を躊躇なく行って大丈夫!」という、政府からのメッセージとも言えそうです。

変更点(3)3つの新枠が登場

10次からは、申請枠も増えました。「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」の3つです。

▼回復型賃上げ・雇用拡大枠

業況が厳しいながらも、賃上げや雇用拡大に取り組む事業者を対象とした枠です。

出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要

上限は、従業員規模によって異なります。5人以下だと最大750万円、6人から20人だと最大1000万円、21人以上だと最大1250万円です。

なお申請するためには、独自に設けられた要件を満たすことが必要です。

出典:公募要領 概要版

採択審査において加点が見込めますので、前年度赤字だった事業者にとっては、非常に魅力的です。

▼デジタル枠

DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むべく、設備投資を行う事業者を対象とした枠です。

出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要

補助率と上限額共に、回復型賃上げ・雇用拡大枠と同じです。従業員が5人以下だと最大750万円、6人から20人だと最大1000万円、21人以上だと最大1250万円です。

なお申請するためには、独自に設けられた要件を満たすことが必要です。

政府は近年、DX関連投資を力強く支援しています。せっかく投資をするなら補助を活用し、経営基盤の強化に励むことが賢明だと思います。

▼グリーン枠

温室効果ガスの排出削減などに取り組む事業者を支援する枠です。

出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要

グリーン枠は、ここまで見てきた新枠と比べて、上限額が高いのが特徴です。従業員が5人以下だと最大1000万円、6人から20人だと最大1500万円、21人以上だと最大2000万円という手厚い補助が受けられます。

なお申請するためには、次の独自要件を満たすことが必要です。

出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要

近年の目玉政策である「脱炭素」「グリーン」は、当面引き継がれる見通しです。その一方、国際情勢が徐々に変化し、化石燃料への見直しも進んでいます。補助制度があるうちに、投資を検討してはいかがでしょうか。

ものづくり補助金に採択されるには

ものづくり補助金の採択率

ものづくり補助金の採択率は、申請の状況によって変わります。下のグラフからも分かるように、採択される件数が申請数の半分にも満たないことがほとんどです。

ちなみに直近の8次と9次の採択発表を見てみると、一般型の採択率は次の通り。

・8次・・・・・・・・60.05%
・9次・・・・・・・・62.58%
※小数点第2位以下切り捨て

出典:ものづくり補助事業公式ホームページ「採択結果」

このように最近の公募では、比較的高い採択率となっていますが、例年は40%ほど。しかも専門家のサポートを受ける会社が大半なので、見かけほど容易ではありません。

採択されるか否かは、申請時に提出する事業計画書にかかっています。分かりやすくて説得力のある書類に仕上げることが重要です。必要に応じて専門家のサポートを受けると良いでしょう。

ものづくり補助金の加点項目

審査項目の配点は非公表ですが、採択に有利に働く加点項目もあります。

出典:経済産業省「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要

主なものを見てみましょう。

(1)経営革新計画の承認

経営革新計画を作成して承認を受けると、加点が受けられます。経営革新計画については、別記事「経営革新計画とは?概要やメリット、承認率、審査のポイントを紹介」で詳しく紹介していますので、ぜひご確認ください。

(2)創業(第二創業含む)から間もない

創業や第二創業から5年以内の事業者も加点が得られます。

(3)事業継続力強化計画の承認

防災・減災の事前対策に関する「事業継続力強化計画」の認定取得も、加点対象です。

(4)一定以上の賃上げ

「総賃金の2%以上の賃上げ」かつ「最低賃金の+60円以上」を満たすことで、加点が得られます。

(5)「デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況等の確認書」を提出(デジタル枠のみ)

デジタル枠の場合、「デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況等の確認書」を提出することで、加点対象となります。

出典:ものづくり補助金総合サイト「様式〔一般型・グローバル展開型〕(申請の際にご活用いただく様式)」

まとめ

グリーン枠の登場や従業員数による細分化により、補助上限額が増額されたものづくり補助金。しっかり情報を整理して、事業の成長に役立ててください。

補助金制度には、申請の要件や定量目標などの細かいルールがあります。きちんと満たすように心がけることが大切です。気になることがあれば、ウェブサイトからお問い合わせください。