専門家支援+助成金!「企業変革のためのDX推進支援事業」【東京都】

中小企業の多くが「DXの必要性は認識している、だけど資金が不足して進まない」という状況ではないでしょうか。ですがDX化は“待ったなし”。迷っているなら今すぐ手を打つことをおすすめします。

東京都内で事業を営んでいるなら、選択肢の一つとなるのが「企業変革に向けたDX推進支援事業」。令和5年(2023年)度から始まった新しい支援制度で、専門家派遣と助成金を受けることができます。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?

本題に入る前に、DXについて簡単に整理しておきましょう。

DXとは簡単にいうと「デジタル化による変革」です。デジタル技術を浸透させることで社会や生活の形・スタイルを変える、これがDXです。

企業がビッグデータを活用したり、AIやIoTをはじめとするデジタル技術を活用したりすれば、業務プロセスの改善が可能です。すると製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革することができます。

そうなると組織や企業文化、風土の変革にもつながり、競争上の優位性を確立することにつながります。シンプルにいえば“強い組織”になれるということです。

近年話題になっている「2025年の崖」をご存じでしょうか?

この言葉が生まれたのは、経済産業省が平成30年(2018年)に発表したレポートがきっかけです。DX化の波に乗り遅れると日本経済が停滞、そして2025年以降には、「最大で年間12兆円の経済損失が生まれる可能性がある」と警鐘を鳴らし、DX推進に力を注いでいます。

IT人材がいない、日々の業務で手いっぱい……という経営者も多いことでしょう。ですが、もう先延ばしするわけにはいきません。政府も力を入れている今こそチャンスではないでしょうか。

「企業変革のためのDX推進支援事業」とは?

「企業変革のためのDX推進支援事業」とは、「専門家派遣」と「助成金」の二本立てで、中小企業のDX化をバックアップする制度です。

公益財団法人 東京都中小企業振興公社が事業を行っており、対象は都内の中小企業など。東京都内に主たる事業所があり、1年以上事業を継続していることが条件です。

DX化が進めば、仕事はぐんと効率化します。実は「ヒト・モノ・カネ」が限られる中小企業にこそ、DX化は有効なのです。支援が受けられる機会を利用して、従来のやり方から脱却するための一歩を踏み出してはいかがでしょうかか。

令和5年(2023年)5月8日時点で公開されている公式サイトは以下です。
公益財団法人 東京都中小企業振興公社「【DX】準備支援・DX戦略策定支援・トータル支援」

支援内容

「企業変革のためのDX推進支援事業」ではまず、訪問やヒアリングにより現状確認が行われます。その後の審査に通れば、専門家支援や助成金などのサポートを受けることが可能です。

(出典)DX推進支援事業紹介パンフレット

一つずつ詳しくみてみましょう。

(1)事前支援(最大2回)

まずは最大2回の現地訪問です。1回目は経営者と面談し、各部門を訪問します。2回目は現場責任者などと面談し、実地の確認も行います。

(出典)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「【DX】準備支援・DX戦略策定支援・トータル支援」

このときの内容をもとに審査が行われます。サポートが必要と判断されると、次のステップへ進み、専門家(DX推進アドバイザー)によるトータル支援を受けることができます。

(2)トータル支援「DX戦略策定支援」(最大10回)

DX化を進めるためには「戦略」が必要です。やみくもに進めても、時間とお金の無駄になりかねません。このステップでは課題を洗い出し、DX化の青写真となる「DX戦略書」を作成します。

(出典)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「【DX】準備支援・DX戦略策定支援・トータル支援」

このようにDX戦略書を作るにあたっては、まずは経営理念やビジョンを踏まえて、自社の固有事情に応じた「DX戦略案」を作ります。その後、組織内で共有・浸透させた上で、はじめて「DX戦略書」ができあがります。

(3)トータル支援「デジタル技術導入・活用支援」(2年間で最大14回)

DX戦略書が準備できたら、いよいよ行動開始です。

DX戦略書をもとに、必要なデジタル技術を導入します。その後、専門家のアドバイスを受けながら導入技術を活用。結果をふまえた改善計画も作成します。

(出典)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「【DX】準備支援・DX戦略策定支援・トータル支援」

このように、支援フローは大きく2つのフェーズに分かれます。

前半が導入フェーズ。計画策定からサービス提案書作成までの支援を受けられます。後半が活用フェーズです。導入後のデータを分析し、改善計画を作成・検証するところまで支援を受けることができます。

(4)助成金

デジタル技術の導入・活用にあたっては、助成金を活用することができます。助成を受けるための主な条件は、

・DX推進アドバイザーによるトータル支援を利用した
・アドバイザーが作成した提案書に基づく申請を行う

という2点です。なお助成率は2/3以内、最大1,000万円。対象経費は次の通りです。

・機器・ロボット導入費
・システム構築費
・ソフトウェア導入費
・クラウド利用費
・データ分析費

このように、機器・システム・ソフトウェア・クラウドに加えて、データ分析の費用も補助対象となっているのが特徴です。「導入して終わり」ではなく、改善策を出すところまで支援がなされます。

「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」とも併用OK

「企業変革のためのDX推進支援事業」は、「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」とも併用することができます。

(出典)公益財団法人 東京都中小企業振興公社「【DX】準備支援・DX戦略策定支援・トータル支援」

「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」とは、公益財団法人 東京都中小企業振興公社が行う事業の一つです。

魅力は、最大1億円という規模の大きさ。採択率は公表されていませんが、併用できるのであれば両方にトライしてみることをおすすめします。

事業の詳しい内容については、別記事「『稼ぐ東京』へ!躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは?」をご覧ください。

「企業変革のためのDX推進支援事業」の採択率

当事業は令和5年度(2023年)に新しく始まったため、まだ実績は出ておらず、採択率は分かりません。

ただしDX推進は、政府も注力する取り組みです。従業員数が10名を超える会社様は、申請を検討されるとよいかと思います。

審査通過のための申請のポイント

審査の視点として挙げられているのは、次のポイントです。

・ 適合性・・・本事業の目的と合致しているか。
・期待効果・・・ニーズに適応できる価値提供となっているか、生産性向上に寄与するか。
・変革性・・・変革的な要素があるか。
・実現性・・・取組みが実現可能であるか。
・モデル性・・・他の事業者の参考となるか。

DX導入により見込める効果を事前に棚卸しして、審査のポイントを満たせるように事前準備をしてください。

まとめ

従業員数が10名超の会社は、DX推進の効果が期待できます。公的支援という強い味方を得て生産性を高めてはいかがでしょうか。

支援制度には、申請の要件や定量目標などの細かいルールがあります。きちんと満たすように心がけることが大切です。気になることがあれば、ウェブサイトからお問い合わせください。