製造業の工場は消費電力が多く、電気代がかさみがち。照明をLED化すれば節電につながり、しかも助成金を受け取れる可能性があることをご存じでしょうか?
長らく照明の主流であった水銀灯や蛍光灯器具は、令和2年(2020年)を境に順次生産が終了。遅かれ早かれLED照明に切り替える必要があります。助成金が受けられる今こそ、切り替え時と言えるでしょう。
最大1500万円、助成率1/2の助成金が受けられる、東京都の「 LED照明等節電促進助成事業」を紹介します。
LED照明等節電促進助成事業とは?
LED照明等節電促進助成事業とは、主に製造業の工場における「照明のLED化」を支援するための事業です。
工場内の照明をLEDに替えたい、でも資金の余裕がない……。不景気とコロナ禍のダブルパンチの中、そんな会社も多いのではないでしょうか。
LED照明等節電促進助成事業のキーワードは、「節電」です。LED照明などに切り替えて節電効果が期待できるのであれば、助成率1/2、最大1500万円の助成金が受けられます。
導入費用のサポートを受けられて、電気のコスト削減が可能になり、なおかつ環境への配慮にもつながる。まさに“一石三鳥”。導入費用がネックになって二の足を踏んでいるのであれば、検討する価値はあるでしょう。
もう一つ忘れてはいけないのが、いわゆる「照明の2020年問題」です。
「照明の2020年問題」とは、令和2年(2020年)を節目として、水銀灯や蛍光灯器具が生産終了に向かい、入手できなくなること。
日本政府は「新成長戦略」「エネルギー基本計画」を打ち出し、LED照明などの次世代照明に100%切り替えることを目指すとしています。さらには国際条約である「水俣条約」によって、2020年12月31日以降、水銀灯の製造・輸出入も禁止されました。
水銀灯や蛍光灯器具の生産が終了しても、すぐに在庫が切れるわけではありません。ただし、いつなくなるかは不明。故障していざ交換しようと思っても、代替品がない可能性もあるのです。
LED化すれば消費電力が減り、毎月の電気代に反映されます。助成金が受けられる今は、LED投資の絶好のチャンスです。
LED照明等節電促進助成事業の公式サイト
令和3年(2021年)8月11日時点で公開されている公式サイトは以下です。
また、現時点で発表されている今後のスケジュールは、次の通りです。
このように募集は、おおむね2か月に一度のペースで行われています。ただし、LED照明の普及はかなり進展していますので、補助金や助成金は年々減っていくことが予想されます。利用を検討する事業者は、急いだ方が良いでしょう。
LED照明等節電促進助成事業の対象
対象として認められるためには、次の条件を満たしている必要があります。
・東京都内で製造業を営む中小企業者及び中小企業団体
・所定の診断(節電・省エネ)を受けている
それぞれについて見てみましょう。
(1)東京都内で製造業を営む中小企業者及び中小企業団体
「東京都内・製造業・中小企業者及び中小企業団体」という3つの項目に分けて解説します。
▼東京都内
募集要項には、次のように書かれています。
ポイントは2つ。
・東京都内に登記簿上の本店または支店がある。
・東京都内で、実質的に1年以上事業を行っている。
こうした点を満たしていることです。
ただし、原則としては東京都内にある工場が対象ですが、都内に本店がある事業者であれば、
・茨城県
・栃木県
・群馬県
・埼玉県
・千葉県
・神奈川県
・山梨県
これらの地域にある工場も含まれます。
▼中小企業者及び中小企業団体
中小企業者と中小企業団体の定義については、募集要項に次のように記載されています。
▼製造業
「製造業」についても、同じく募集要項に次の記載があります。
なお工場を所有していても、行っているのは設計や検品検査のみで、生産を外部委託している場合は、対象となりません。
(2)所定の診断(節電・省エネ)を受けている
次の3つのうち、いずれかの診断を受けていることも条件です。
(1)公社が実施する節電診断
(3)クール・ネット東京が実施する「地域の多様な主体と連携した中小規模事業所省エネ支援事業」において、省エネサポート事業者が交付決定を受けて実施する省エネコンサルティング
「(1)公社が実施する節電診断」および「(2)クール・ネット東京が実施する省エネ診断ん」は無料です。追加的なコンサルティングの必要がない場合は、これらのうちのいずれかを選択するのが良いでしょう。
助成対象となる経費
助成対象となるのは、次の4つです。
(1)LED照明器具
LED照明とは、「LEDモジュールが組み込まれたベースライト形、ダウンライト形、スポットライト形、高天井形、シーリング形等の製品のうち、電気用品安全法で定めているPSEマークの表示がされているもの」と定められています。
誘導灯や非常灯は対象外。あくまで節電効果が見込めるものが対象です。
(2)デマンド監視装置
デマンド監視装置とは、最大需用電力(デマンド)の上限を超えそうになると、警報やランプで知らせてくれる装置です。
本体に加え、警報装置や制御装置、監視用PCソフトウェアなどの関連装置も対象です。
(3)進相コンデンサ
進相コンデンサは、無効電流の割合を減らし、電力の力率を改善するための設備です。
力率が上がると、電力会社から「力率割引」を受けることができ、基本料金が下がります。
(4)インバータ
インバータとは、周波数変換装置のこと。周波数を変えることでモーターの回転数を制御して、省エネを可能にします。
LED照明等節電促進助成事業では、インバータの稼働に必要な付帯設備(キュービクル除く)も対象です。
審査通過のための申請のポイント
審査項目は次の5つです。
(1)申請資格
本助成の資格要件に合致しているか?
(2)経営面
財務内容や企業概要などから、助成対象先として妥当性があるか?
(3)導入計画の妥当性
設備導入の計画(期間、資金計画等)に無理がなく、申請企業の規模に照らして妥当性があるか?
(4)導入設備の価格妥当性
導入予定設備の価格が一般的な市場価格と比較して妥当性があるか?
(5)設備導入の節電効果
省エネルギーの推進という本助成金の目的に照らして、節電効果が見込めるか?投資に対する回収見込が適切であるかどうか?
申請にあたっては、「節電」という目的に対する効果をしっかりと示せることが重要です。必要に応じて専門家のサポートを得ながら取り組むと良いでしょう。
まとめ
遅かれ早かれ、LED化が求められます。工場のコスト削減のためにも、助成金を活用してはいかがでしょうか。
助成金を受け取るには、申請の要件や対象経費などの細かいルールがあります。きちんと満たすように心がけることが大切です。気になることがあれば、ウェブサイトからお問い合わせください。