ますます便利になり、応用領域が日々広がっているデジタル技術。「ICT活用で生産性を向上させたい」「ロボットを導入して省人化を図りたい」と意気込む経営者も多いことでしょう。
中小企業などのデジタル技術導入・活用を後押しするために、令和3年(2021年)から始まったのが、「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」です。
無料相談をはじめ、専門家の現地訪問や支援、別途審査はありますが最大1億円の助成金など、幅広い内容となっています。東京都内で事業を営み、デジタル技術をビジネスに生かしたい事業者におすすめです。
※従来の「生産性向上のためのICTツール導入助成金」は、同事業に組み込まれました。
生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業とは?
「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」は、東京都内で事業を営む中小企業や小規模事業者を対象とした事業です。
事業の目的はその名の通り、「デジタル技術の活用推進」。デジタル技術とは、ICT、IoT、AI、ロボットなどを指します。
こうしたデジタル技術は、決して大企業やITベンチャーだけのものではありません。近年では手軽に導入できるツールが続々と登場し、中小企業の活用事例も増えています。
身近になってきたデジタル技術は、人手不足解消の切り札となり、生産性を押し上げる原動力となることでしょう。
とはいえ中小企業の場合、社内に専門家がいないことも多く、デジタル技術導入が進まない原因の一つとなっています。
「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」では、無料相談窓口やセミナーを利用することで、必要な情報を集めることができます。専門家による現状分析をもとに、トータル支援が行われます。
また別途審査がありますが、必要と判断され条件も満たせば、「デジタル技術活用推進助成金」や「躍進的な事業推進のための設備投資支援」などの助成金を活用することもできます。
支援はすべて無料となっていますので、対象であれば活用を検討する価値はあるでしょう。
生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業の公式サイト
令和3年(2021年)6月30日時点で公開されている公式サイトは以下です。
実施団体は、東京都と連携して中小企業支援を行う「公益財団法人 東京都中小企業振興社」です。
主な支援内容
支援内容は次の通り。「情報収集→導入検討→導入・活用」の順で進んでいきます。
(1)情報収集
まずは窓口相談やWeb相談、セミナー参加などを通じて、情報を集めることができます。
(2)導入検討
専門家が、事業所や工場などを訪問します。経営方針や社内体制、生産現場の現状などをヒアリングして、課題を明確化。支援方針を決定します。
(3)導入・活用
そしていよいよ、課題に合わせた最適なアドバイザーが選任され、導入・活用へと進みます。
▼専任アドバイザーによるトータル支援
ICT(ソフトウェア・クラウドサービス)及び先端技術(IoT・AI・ロボット)の導入から活用まで、アドバイスを受けることができます。
サポート回数は、「初年度は最大10 回、2 年目は最大 8 回」となっています。※最大 2 年間。
▼人材育成講座(必要に応じて実施)
機器導入や活用に向け、人材育成のための講座や研究会を実施します。
▼助成金
別途審査がありますが、「デジタル技術活用推進助成金」「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」といった助成金を活用することができます。
〈デジタル技術活用推進助成金〉
募集は年1回、現在まだ行われていません。公募に際しては公式サイトで発表される見込みですので、随時ご確認ください。動きがありましたら当サイトでもお伝えいたします。
〈躍進的な事業推進のための設備投資支援事業〉
魅力は何といっても、最大1億円という助成額の大きさ。資金面で二の足を踏んでいた事業者におすすめです。
詳細は、当サイトの別記事でご確認ください。
「稼ぐ東京」へ!躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは?
生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業の対象
対象として認められるのは、次の2つの条件を満たす事業者です。
(1)東京都内に主たる事業所がある中小事業者
公式サイトに挙げられているのが、「東京都内に主たる事業所をおく中小企業者」という条件です。
なお中小企業者とは、次の表に該当する事業者のこと。個人事業者も含まれます。
(2)公社が派遣の必要性を認めた事業者
実施団体である公益財団法人 東京都中小企業振興社」が、現地調査・ヒアリングを通して「専門アドバイザーの派遣の必要性がある」と認めることも条件です。
まずは現地調査に申し込むと、アドバイザーによる現地調査・ヒアリングが行われます。その中で、「専任アドバイザーによるトータル支援」の可否が判断されます。
〈派遣場所〉
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県
〈派遣する専門家〉
ICT・IoT・AI・ロボット経営相談に係る相談員、公社に登録のある専門家、およびデジタル技術活用に関し高度な知識を有する専門家
まとめ
支援を受けるためには、専門家が「この事業者には支援が必要だ」と判断することが必要です。業務上の課題や求める姿がある程度具体的にイメージできていれば、支援を得やすくなるでしょう。
少子高齢化で人材不足が進み、最低賃金の大幅引き上げなどもあって、デジタル化は待ったなしの現状。足踏みしている中小企業も多い今だからこそ、先手必勝により頭一つ突き抜けることも可能です。具体的な課題をお持ちの事業者様は、活用を検討してはいかがでしょうか。